BABEL Wave#10
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https://open.spotify.com/episode/3PqXrcBiKTUkZEU4Q0gCkv
[文字起こし]
曽根
はい、始まりました。今回はですね、先週配信された、俳優、山田真歩さんとですね、監督の曽根隼人がですね、この後編をお届けいたします、はい。
前回はですね、FODドラマのですね、撮影のちょっと現場のお話とか、お芝居についてお話させていただきましたが、今回は後半ということでですね、 制作秘話とかですね、ちょっとそんな話もしていければなと思っております。 はい。で、ですね、このドラマ「憑きそい」なんですけども、ドラマ「憑きそい」はですね、原作者の山森めぐみさんがですね、実体験をもとにインスタグラムに漫画を投稿するやいなやですね、インスタ最恐と話題になった原作に着想を得まして。全9話でですね、展開されるホラードラマとなっております。 というわけで山田さん、ホラーが初ホラーということだったんですが、ホラーとかご覧になられますか。
山田
ホラー。でもまあ、いろんなホラーがあるじゃないですか。「羊たちの沈黙」ってホラーですかね。
曽根
「羊たちの沈黙」。そうですよね。幽霊が出ないホラーもホラーには入るんですかね。なんかでもサスペンスって感じがしますけどね。
山田
幽霊が苦手なんでしょうね。見たことなくて。見たことないんですか。あの、「羊たちの沈黙」とかは見れたんですよ。
曽根
ギリ。
山田
人間がちょっとおかしくなっちゃうみたいな。だけど、唐突にテレビの中からなんか出てくるとか、 ドア開けたら誰かなんかいたとか、日常生活が脅かされる系のホラーはちょっと見たくないし、見る意味がわからないので、
曽根
ちょっと待ってくださいよ。作ったのに。
山田
あ、そうか。
曽根
あ、そうかじゃないっすよ。
山田
あの、好きになる、好きになるっていうか、あの、ホラーを見る意味がわからないって思ってたんですけど、これに出たら意味がわかるかなと。
曽根
意味、わかりましたか。
山田
あ、あのね、恐怖は大事なんだなってのはありましたよ。
恐怖しないじゃないですか。あんまり、してる人たちもいると思いますけど。
曽根
いやでも、僕、最近、最近っていうか、今朝。
山田
はい。
曽根
今朝、3時に起きまして。で、散歩してたんですよ。
山田
3時に散歩。暗いですよね。
曽根
真っ暗です。でまあ、散歩してる時は、もう4時ぐらいになってたんですけど。で、家の近所を歩いてまして、4時。真っ暗ですよ。で、 あの、素敵なお家があったんですね。打ちっぱなしの。で、素敵なお家あるなってじっと見て、ま、4時だから誰もいないから、結構人のお家もジロジロ見れちゃうみたいな、感じで見てたら、その隣の家が、ちょっと階段があって、で、階段ちょっと登ると その入り口があるみたいな感じのお家が隣にあったんですけど、その4時誰もいないと思ってたその隣の家は、階段のとこに女性が立って。
山田
やめてくださいよ。え。怖いじゃないですかもう。
曽根
スーツの女性が立ってて。
山田
え。スーツ。
曽根
はい。で、それも怖いじゃないですか。なんか朝パジャマで。
山田
直立不動で立ってたんですか。
曽根
そうなんです。パジャマで掃除してるとかだったらまだわかるじゃないですか。ゴミ捨て行ってますとか、直立不動で、ずっと扉の方向を向いて立ってたんですよ。 僕も一瞬見て、怖くて、
山田
それは怖いですよ。
曽根
見えなくて、だったんですけど、最近、そのホラー映画とか見過ぎて、ホラー映画が1ミリも怖くなくなっちゃったんですよ。
山田
麻痺した。
曽根
麻痺したんすよ。だけど、そんな僕でも、あ、怖がれるんだと思って、 1時間後ぐらいたって、もう1回行こうと思って行ったら、さすがにいなかったんですけど、いや、あれはなんだ。
山田
それ、怖がれるんだっていうのに、嬉しかったんですか。
曽根
ちょっと嬉しかったです。
山田
その感覚わかんないな〜。
曽根
ちょっとね、だから変態になってきて、その、あの、前回のこの前編の、このラジオの前編でも言った、あの怖いトンネル。怖いトンネル。ロケハン行った時は3人だったんですよ。昼間でも中真っ暗なんですよ。で、その制作部の人とプロデューサーと僕と3人で、1番最初のロケハン行って。
曽根
「すいません、実はもう、あの、本当に心霊スポットなんです」みたいな。そんな心霊スポット連れてくんなよと思いながら、 そのトンネル、真っ暗んとこ歩くじゃないですか。で、最初はみんな携帯とかでこう、電気を照らしてたんですけど、「もう1回ちょっと全部切って」つって。
山田
誰が言ったんですか。
曽根
僕が。
山田
だからそういうことなんで言うんですか。
曽根
で、真っ暗なトンネルの中に立ったらどんな気分なのって思って。
山田
あ、やっぱそこですよね。
曽根
「ちょっと怖い」みたいな。
山田
そうなれるかどうかじゃないですか。もし私が同じだったら、もう絶対に入んないし、明かりは消したいと思わないんですよ。
曽根
でも、なんか、ちょっと怖いって思える自分がちょっと快感に感じてきて。
山田
それって、冒険したいみたいな、森の中に入ってちょっと行きたいみたいなことなんですか。
曽根
なんですかね、僕でも、うん、そういうのの方が、海外旅行とかちょっと怖いですし、そういう方が怖いっていうか、 霊的な恐怖っていうのをなんかちょっと感覚が麻痺ってきて。これ、ホラー作る人間としてはどうなんだろうなと思ってるのが悩みです。
山田
辛いものが好きで食べ過ぎて、なんかちょっとやそっとの辛さじゃもう満足できないみたいなことですか。
曽根
多分それに近いです。だから多分そういう人が料理作ると、死ぬほど辛かったりして、普通の人の下の感覚に合ってないみたいな。
山田
それは思って。今回ホラー出るんで、まあ色々過去のホラー見てみようと思って。ヒッチコックの『鳥』を観たんですよ。
曽根
随分懐かしいものを。
山田
ですよね。で、それからミッドサマーを見たんですよ。同じホラー。ま、ジャンルとしては ヒッチコックの方はお化けなんて出てこないし。
曽根
鳥が怖いだけですもんね。
山田
そうなんです。だから私でも見れたんですけど。でも、『ミッドサマー』でしたっけ。
曽根
はい。アリ・アスター監督の。
山田
あれはもう何分か後に怖い。めちゃくちゃ怖いのが出てくるじゃないですか。すごい過激な怖さになってて、 ホラーもなんか進化してるんだと思って。
曽根
え、でもアリ・アスターはだいぶ変態ですよ。ホラー監督の中でもだいぶ灰汁の強い。
山田
あれを見た時に、崖から人が落ちるシーンあるじゃないですか。あそこでもう断念して。
曽根
あれはね。わかります。あれはやっぱもうその先がわかってても、もうやめてやめてっていう。
山田
で、その時に思ったのは、なんでこんなに怖がらせられなきゃいけないんだろうって思ったんです。
曽根
それですね、ホラーを見る理由。いや、でも、僕もホラー作ったんですよって言うと、 やっぱり「なんでホラー見なきゃいけないの」みたいなことを言われて、 へこみながら「見てくださいよ」と思いながら、
山田
でも、その、演じるからには、恐怖の感情っていうのをどれだけリアルに感じられるんだろうって思って、スティーヴン・キングの本を読んでめくってたら、「恐怖っていうのは、今ここで感じる強烈な感情。自己が崩壊するほどの」って一行を見つけて、 え。自分が崩壊するほどの強い感情って日常生活ではほぼないな、だからそれをホラーって提供してんのかって思ったら、超大変だなと思いました。
曽根
俳優さん大変ですよね、ほんとに。あの、『ヘレディタリー』はご覧になられましたか。そのアリ・アスター監督の。
山田
そうです。『ヘレディタリー』はもう、曽根さんがこれはオススメだからって言って、『チェルノブイリ』と一緒にあったじゃないですか。『チェルノブイリ』も。『ヘレディタリー』も観ました。
曽根
『ヘレディタリー』のお芝居ってもうなんかちょっとえげつないことやってますよね。
なんか本当に本当にどういう気持ちでお芝居されてるんだろうとか思いながら。
山田
楽しそうですよね。でも、あそこまで振り切れると。
曽根
あー、そう見るんですね。
山田
あの、最初に見た時に、『ヘレディタリー』は、すごい最初から緊張感があるじゃないですか、みんな。「あ、この部屋になんかいるかも」って言った瞬間の身がぐってなる感じとか、 なんか野生動物を見るようで美しいなって思ったんですよ。純粋に。その緊張感っていうのはやっててもゾクゾクしたろうなとか 結構見てて、役者の視点で見ると、結構面白かったですね。
曽根
確かに。だからホラーって 作る側は面白いんですよね。見る側の方もちょっと楽しんでいただきたいなと思いつつ。皆さんにホラーを作るのをおすすめするラジオになって。
山田
え、そうなんですか。
曽根
嘘です。どうですか。じゃあ、これをきっかけにホラーもたくさん楽しんでいただいて。
山田
いや、もういいかなって思ってて。だって、曽根監督は霊感というか、お化けをたまに見るタイプの。
曽根
いや、違います。僕はお化け全く信じてないんです。
山田
でも、見てますよね。
曽根
たまたまでも見ちゃってるというか。その、ロケハンの時に、 誰も鳴ってない電話の音が全員に聞こえたとか、そういう体験をしたっていうだけです。 あれはなんだったんだろうといまだに思ってるんですけど、僕はでも幽霊信じてないんです。
山田
見てるのに信じてない。
曽根
はい。なんだったんだろうなって思ってはいますが。信じてらっしゃるんですね。
山田
うん。あの、私は見ないですけど、私の友人は結構見る人がいるんで、そういう人たちのあのお化けの話は今回ドラマの前に色々聞いて。 で、1人の女の人はね。寝てる時に自分の部屋にすごい気配がして、足音がして、誰かいるって思った時に、布団の中ですごい面白いポーズをとった。
曽根
誰がですか。
山田
その彼女がね。で、こんな面白いポーズとってる時に、お化けは襲ってこないだろうと思ったりとか。うん、そういう話は、ま、結構コメディだなと思いながら聞いていましたけど。
曽根
はいはい、面白いですね。確かに。なるほど。面白いポーズをして幽霊を退治するという。
山田
そう、あとはね、 あのお化けがいそうなところで、般若心経をね、ずっと言ってた友達がいたらしいんですよ。そしたらね、そのお化けがね、女の人でね、そんなものでいなくなると思ってるの。って言われたとか。
曽根
いや、僕、なんか怖い話聞くのはめっちゃ好きなんすよ。僕だから夜中、あの、ネットの怖い話ってあるじゃないすか。
山田
よく読みますよね。
曽根
2チャンネルの怖い話集とかあるんですよ。全部読んじゃいます。あれ。
山田
私はもう絶対触れないです。そういう世界。
曽根
触れてみてください。ちょっとこれをきっかけに。
山田
なんでですか。
曽根
楽しいですよって。なんなんですかね。ジェットコースターとかって乗られますか。
山田
大嫌いです。
曽根
あー、じゃあジェットコースターもなんで乗るの、みたいな。
山田
うん、意味わかりません。好きな人好きですよね。
曽根
そういう感覚に近いかもしれないですね。なんなんですかね。
山田
死ぬギリギリの体験をしたいみたいなことですか。
曽根
なんなんでしょう。生きてる感覚を。
山田
生きてるって思いたいっていうことか。
曽根
そうかもしれないです。
山田
エベレストに登って、酸欠状態になって凍傷になって「生きてる〜」って思うから。また登っちゃうみたいな。
曽根
ちょっとバカにしてません。
山田
いや、全然してません。
曽根
でも僕エベレスト登らないですけど、なんかそういう登る方の気持ちとかわかります。なんか達成感とか、そういう生きてる感覚みたいな。確かにそうかもしれないですね。
山田
生きてる感じ。あ、すごい重要なこと言ってたじゃないですか。あの、今回のドラマを作るときに、生きててよかったって、日常がありがたく思えるようなドラマにしたいって。
曽根
あ、そうなんですよ。
山田
もうそれ言ってましたね。
曽根
ゆってましたね。そんなこと。
山田
だから「生きてるだけで丸もうけ」ってね、最後旦那さんに言わせたりして。
曽根
さんまさんの名ゼリフをかりて、そうなんですよ。
山田
日常のありがたみを知るためにホラーを今回作りたいって言ってましたね、そういえば。
曽根
そうですよ。だから、ホラーはとっても健全なコンテンツなんです、そういう意味では。愛に溢れた。
山田
ただの、平凡な日常が、ホッとできるっていうか。
曽根
でもそれって大事じゃないですか。僕キャンプが好きで、キャンプも似てるなと思って。
山田
非日常に行くんですもんね。
曽根
非日常じゃないですか。でも多分、日常が便利すぎるんですよ。なんでもあって。
山田
コンビニとかね。
曽根
そうなんですよ。キャンプ嫌いな人って、なんでお金払ってまであんな不便なことしなきゃいけないんだ、みたいな。うそうなんですよ。まさにコンビニ行けばなんでも済むみたいなのが、 なんかちょっともう水も汲みに行って、やんなきゃいけないみたいな。でもこれありがたいね。普段っていう 蛇口ひねったら水飲めるってありがたいね、みたいな。
山田
なるほど、今やっとわかりました。意味が。
曽根
あじゃあ、ホラーいっぱい観てもらって。
山田
どうかな。
曽根
まあ、でも、ある意味、あれかもしれないですね。そういうのはなくても、多分充実してらっしゃるというか。
山田
までも、その、演技自体が緊張しいられることが多いので。終わった時、ホッとしたりとか。そういうのは、ありますよね。
曽根
お仕事からもう刺激を得ているというか。でも、舞台ってすごいですよね。
山田
もう、ほんとにね、自分を晒して死にたいって思うこともいっぱいありますしね。緊張で。
曽根
いや、ほんと、僕、舞台って、だってもう、その場勝負じゃないですか。
山田
はい。助けてくれないですもんね。
曽根
もう1回いきましょうってやれないじゃないですか。それすごいですね。
山田
この間見に来てくださってね、舞台を。
曽根
そうなんですよ。舞台はほんと1年に1回とかしか行かなくて。でも行くたびにやっぱなんか得るというか、 ものすごい得れるものがあって。でもその中で、やっぱ役者さんこれ大変だなっていうか、すごいなと思いました。
山田
もう常にホッとできてないんで、役者は。普段からホッとできてない環境にいるんで、ホッとしたいっていうのがあるから。今更ホラーとかさらにホッとできないよ、みたいな。
曽根
なるほど。ホラー見なくても。ホッとできる映画の方がそうなんですね。じゃあ役者さん以外の方は楽しんでいただいて。
山田
そうかもしれませんとか言って。でも役者でもね、好きな人いるかもしれないし。
曽根
いらっしゃいますよね。
山田
タイプだと思います。
曽根
でもやっぱ作り手に結構いますね、ホラー好きは。
山田
あ、そうですか。
曽根
ホラーは作りたいっていうのはよく聞きます。だからホラーね、なんか今回やれたのはめちゃくちゃありがたかったですけども。今後もじゃあ、はい、ホラーに出演いただいて、どんな締め方やねんっていう感じですよね。 ちょっと僕、あの、そうなんです、うちのスタッフが色々台本を作ってくれたので。
曽根
なんかそっちにもいい加減触れろよって感じですよね。はい。「憑きそい」をどのような人に観てほしいか。
山田
今の話です。日常のありがたみを感じたいっていう。
曽根
そうなんですよ。だから、なんかちょっとこの日々の生活に刺激足りないよみたいな人は 是非。もう、いろんな角度で怖がらせに行ってるので。今回よかったなと思うのは、ま、全9話で、連ドラのようで連ドラでないというか。
山田
そうですよね、
曽根
結構その、1話完結、1話完結型で。監督も、僕含め4人の監督でいろんな回やってるので、結構テイストが毎回違うかったりして。
山田
全然違いましたよね。全部一気に見たんですけど。それも1人で見れないんで、友達んちで見た んですよスイカ食べながら、 こわ。とか思いながら。でもなんか全然違いますよね、なんか山口監督の時、どうしても私笑っちゃって。
曽根
僕も同じです。結構僕も色々SNSとかではいろんなコメント見てたんすけど、 やっぱあれがめっちゃ怖いっていう人とかもいて、やっぱその、タイプが分かれるっていうか、その、やっぱこの効くツボが人によってやっぱ違うんだなっていうのが。 だから、皆さん、この話が怖くて、この話は怖くなかったみたいなのが一致しないというか。
山田
いや、それ思ってゾッとするポイントって違うじゃないですか。 私、ゾッとするいろんな写真とか絵とか言葉とか集めたんですよ、今回。で、台本に貼ったんですけども、おぞましくて見たくないのがあって。あのね、お化けの絵とかじゃないんですけど。ヤツメウナギのね、吸盤が張り付いて、すっごいおぞましいと思って。
曽根
それ、わかります。
山田
だけど、それを見ても何にも感じない人いるじゃないですか。
曽根
あー、そうか、そうなんですね。
山田
その何が、私の中の何がこの写真。ひどいなこの写真。と思ってもうプリントしたんですけど、コンビニで。もう、こんな感じです。紙の端っこ持って。
曽根
僕もだって、子供の時図鑑で家にあった図鑑に、あの、なんかあれですよね、こう同じ吸盤がじーってなってるやつですよね。
山田
人、人っていうか、魚に寄生して、血を吸って、こうなんか蛇みたいな。
曽根
それ、あれじゃないですか。ガラス越しに撮ってるやつですよね。
山田
そう、日本のウィキペディアはそうで、海外のウィキペディアでは、ヤツメウナギのその姿じゃなくて、全身を写してるのに、日本だけはその吸盤の方向けて悪意があると思って。
曽根
いや、僕もあれ図鑑で子供の時見て、ちょっとトラウマです。それ、わかります。そっか、でも、あれを平気な人もいるんだ。
山田
でも怖くないっていう人もいるから、怖さのポイントは、自分の中にある何かとリンクしてて、自分の中の何かの要素と、おぞましさって、 あの鳥肌が立つ瞬間っていうのはリンクしてるんだろなと。
曽根
なるほど。じゃあ、そういう自分発見のためにも、全9話見ていただいて、あ、自分はこれが怖いんだみたいな。
山田
多分、記憶とかとも関係してると思うんですけどね。
曽根
なるほど、そうなんですかね。 そう、だから、そういう意味ではね、なんかいろんな怖いツボをこう押しながらっていうのは、なんか9話それぞれ やれてよかったなとか思うんですけどね。
曽根
なんか、あの、SNSで結構、あの不気味な笑顔の男性の顔が。 第1話ですね。第1話で、事故の駅ですね。飛び込むその幽霊みたいなのがいて、 あれの制作秘話みたいな。
山田
制作秘話。あの笑顔をどういうふうに演出されたんですか。
曽根
笑顔は。もうこれ、演出というか形じゃないですか。そう。でも、あの、なんか漫画を見て、漫画でもう口がめっちゃくって上がってるみたいな。で、そのインパクトがすごくて、これ実写でどうやるんだろうみたいなのは色々実験をして、うんま、じゃ、特殊メイクでやるのがいいのか、ちょっと編集でやるのがいいのかみたいな。 でも、やっぱり、あの役者さんがやっぱ結構大事というか。
山田
立ってるだけで怖い雰囲気ありましたよね。
曽根
そうなんですよ。なんか別の作品で、笑う男みたいなのされてて。
山田
あ、怖い作品ですか。
曽根
それの顔で、この人だみたいな感じで選ばせていただいて、それで、いろんな表情を。それも実験というか、撮らせていただいて、もうちょっと、こう、上げてみましょう、口角上げてみましょうみたいな、その笑顔テストみたいなのを結構しつこくやりまして、で、そのまま、撮った写真を、CGというか加工してくださる方に、じゃ、どれぐらい、ちょっと、あんまりやりすぎると、やっぱ、コメディっていうか、面白くなっちゃうんで。
山田
バランス。
曽根
そうなんですよね、ちょうど、面白いまでいかないけど、怖いを保てる口角の上げ方みたいなのを、 こう色々実験したという。だから、その特殊メイク的な要素と、俳優さんの表情の作り方と、最後、編集というか、CGというか、加工する部分の3つのバランスが 結構ピタッとはまって、あの顔になった。
山田
異様ですもんね。特にお化けっぽいメイクしてないのに、なんか異様な感じ。
曽根
そうなんですよね。で、結局思ったのは、やっぱ人間が1番怖いんだなっていう。あんまり、やっぱ幽霊幽霊しすぎちゃうと。やっぱなんかちょっと 非現実すぎて怖くないっていうか。だから、やっぱ結構人間的な要素を残しつつがいいんだなと思って。でも、1番嬉しかったのは、原作者の山森めぐみさんが、ツイートされてて、あの顔について綿密なおし打ち合わせを、ご本人とはできなかったんですけど、「そういうのやってないのに。私が見たのは、あの顔でした。」っておっしゃってたんです。
山田
えー。それはすごいですね。
曽根
そう。だから、それはすごい嬉しかったです。だから、あの漫画を見ただけなんですけども。多分それは偶然的一致というか。
山田
でもまあ、微妙なラインを狙って、これだ。って思った曽根さんの作り上げたイメージじゃないですか、実写は。 それが創作された山森さんと完全に一致してたってのは、やっぱりすごいですね。
曽根
そうなんですよ。でも逆に、だから、山森さんって、体験されてるわけじゃないですか。実際に見られたわけじゃないですか。 あれ、実際に見られたんだと思って、それめっちゃ怖いなっていう。だから、その嬉しかったと怖かったが同時に襲ってきたみたいな感じだったんですけどね。 それはちょっと作ってよかったなと思った、そんな表情もちょっと是非FODの方でですね、「憑きそい」見ていただきたいですけど。
曽根
山田さんにじゃあ最後に聞いていいですか。なんか、このホラーを経て、今後なんかどんなことにチャレンジされたりとかありますか。なんかその、 唯一やってなかった感情だったっておっしゃられてたじゃないですか。
山田
恐怖ですよね。うーん、無感情とか、 感情を表現するっていうのは役者は求められるんですけど。無でいるとか、何かこう、さっき曽根さんも何考えてるんだろうこの人っていう喜怒哀楽以外の表現っていうのは、あまり求められないことが多くて。やっぱり人間の感情を解放するような場面は描かれるんですけど、そうじゃないものってなんだろうなっていう。ただたたずんでいるとか、 その中で何を感じてるんだろうって想像させるようなことは、大人っぽいし、やってみたいなって思いましたね。
曽根
いいですね。いや、なんかちょうど今日、『キラー・ビー』っていうドラマがあって、それめちゃくちゃ面白くて。
山田
どこの国ですか。
曽根
アメリカの、チャイルディッシュ・ガンビーノっていうアーティストが。
山田
ラッパーですよね。
曽根
そうですそうです、ドナルド・グローヴァーっていう名前に変えて、ペンネーム的な感じで監督してるんですよ。それが本当に、主演が、女性の連続殺人鬼なんですけど、ほぼ無表情っていうか。
山田
何考えてるか。
曽根
何考えてるかわかんないです。でも、無表情で、ちょっと首ひねりながら涙だけポロってこぼしたりとか。
山田
そういうの、すごいやってみたい、
曽根
ちょっと見たいです。山田さんが演じられてるの。
山田
そう。何考えてんだろうって想像させることをなんかたくさんできたらいいですよね。 こう感じてるんですよっていうのを説明するんじゃなくて。
曽根
面白いですよね。
山田
見る人もきっと推理っていうか、いろんな捉え方できるじゃないですか。
曽根
そうなんですよ。だからなんかちょっと僕も作り手としてこう、時々自分に危機感感じるのは、なんかこれ分かってもらわなきゃいけないんじゃないかとか思うんすけど。意外と視聴者視点に立つと 何考えてんだろこいつみたいな。君は好きだ、君のこと好きだよって言ってるけど、ほんとにお前好きなのか。みたいな瞬間の方が面白くて、 そういうの探求できる作品っていいなって思うし、そういうの作りたいですね。
山田
何度も見れるし、確かに見るたびに違ったりするから。
曽根
そうなんですよ。だから僕も実は、「キラー・ビー」を見たと言いながら、今日2周目で、2周目でも、これどういうことなんだ、どう思ってんだ。
山田
Bって、あのアルファベットのBですか。
曽根
蜂ですね、殺す蜂。ぜひ、あの「キラー・ビー」。あれ?違いますよ、FOD「憑きそい」ですよ。
曽根
FOD「憑きそい」を観ていただかないといけないのに、いつの間にか「キラー・ビー」の番宣をAmazonプライムでとか言って。怒られます、FODさんに。
山田
いいじゃないですか。
曽根
ついでに。 どっちも。それぞれの面白さがあるので、
山田
ほんと好きなんですね。ホラー。
曽根
いやもう最近はもうホラーばっか観てるんでよくわかんなくなってきましたが。
山田
たまには箸休みで違うのも観てください。
曽根
なんか僕観るやつ、だいたい誰か死にますね。なんなんだろう。
山田
何にも起こらないのみたらいいじゃないですか。
曽根
でもね、『めがね』とか大好きですよ。『めがね』っていう荻上直子さんの、あれ大好きなんです。
山田
言い訳みたいに聞こえます。
曽根
ほんとですか。いやあれ、僕大好きで、ほんとに。
山田
『めがね』は人死んでないですか。
曽根
何も起こらない。ただ美味しそうにご飯食べて、海辺で過ごすだけの映画。
山田
曽根さんのそういうの観てみたいです。
曽根
どういうことっすか。あ、僕がですか。多分ね、こう殴り合ったりしちゃうんですよね、すぐ。なんかそうなんですよ、なんか脚本書いてての、アクションとホラーが好きで、すぐなんかそういうのやっちゃうんで。
山田
1回は封印して、違うのやるとそのありがたみがわかるかも。
曽根
なるほど。ホラーの要素と一緒で、1回はね、縛ってみるっていう。
山田
で、ホラーのありがたみがわかると。
曽根
そしたらもう次、ホラーばっかになっちゃうじゃん。
山田
反動で。
曽根
はい。というわけで、ありがとうございました。いろいろお話を聞かせていただきまして。それではですね、あの、 俳優の山田真歩さんと、監督、私曽根隼人でお送りしてまいりました。 じゃあ、あのFODドラマ「憑きそい」もですね。ぜひご覧いただければと思います。はい、ありがとうございまし。
山田
ありがとうございました。
BABEL Wave#10
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[文字起こし]
曽根
はい、始まりました。今回はですね、先週配信された、俳優、山田真歩さんとですね、監督の曽根隼人がですね、この後編をお届けいたします、はい。
前回はですね、FODドラマのですね、撮影のちょっと現場のお話とか、お芝居についてお話させていただきましたが、今回は後半ということでですね、 制作秘話とかですね、ちょっとそんな話もしていければなと思っております。 はい。で、ですね、このドラマ「憑きそい」なんですけども、ドラマ「憑きそい」はですね、原作者の山森めぐみさんがですね、実体験をもとにインスタグラムに漫画を投稿するやいなやですね、インスタ最恐と話題になった原作に着想を得まして。全9話でですね、展開されるホラードラマとなっております。 というわけで山田さん、ホラーが初ホラーということだったんですが、ホラーとかご覧になられますか。
山田
ホラー。でもまあ、いろんなホラーがあるじゃないですか。「羊たちの沈黙」ってホラーですかね。
曽根
「羊たちの沈黙」。そうですよね。幽霊が出ないホラーもホラーには入るんですかね。なんかでもサスペンスって感じがしますけどね。
山田
幽霊が苦手なんでしょうね。見たことなくて。見たことないんですか。あの、「羊たちの沈黙」とかは見れたんですよ。
曽根
ギリ。
山田
人間がちょっとおかしくなっちゃうみたいな。だけど、唐突にテレビの中からなんか出てくるとか、 ドア開けたら誰かなんかいたとか、日常生活が脅かされる系のホラーはちょっと見たくないし、見る意味がわからないので、
曽根
ちょっと待ってくださいよ。作ったのに。
山田
あ、そうか。
曽根
あ、そうかじゃないっすよ。
山田
あの、好きになる、好きになるっていうか、あの、ホラーを見る意味がわからないって思ってたんですけど、これに出たら意味がわかるかなと。
曽根
意味、わかりましたか。
山田
あ、あのね、恐怖は大事なんだなってのはありましたよ。
恐怖しないじゃないですか。あんまり、してる人たちもいると思いますけど。
曽根
いやでも、僕、最近、最近っていうか、今朝。
山田
はい。
曽根
今朝、3時に起きまして。で、散歩してたんですよ。
山田
3時に散歩。暗いですよね。
曽根
真っ暗です。でまあ、散歩してる時は、もう4時ぐらいになってたんですけど。で、家の近所を歩いてまして、4時。真っ暗ですよ。で、 あの、素敵なお家があったんですね。打ちっぱなしの。で、素敵なお家あるなってじっと見て、ま、4時だから誰もいないから、結構人のお家もジロジロ見れちゃうみたいな、感じで見てたら、その隣の家が、ちょっと階段があって、で、階段ちょっと登ると その入り口があるみたいな感じのお家が隣にあったんですけど、その4時誰もいないと思ってたその隣の家は、階段のとこに女性が立って。
山田
やめてくださいよ。え。怖いじゃないですかもう。
曽根
スーツの女性が立ってて。
山田
え。スーツ。
曽根
はい。で、それも怖いじゃないですか。なんか朝パジャマで。
山田
直立不動で立ってたんですか。
曽根
そうなんです。パジャマで掃除してるとかだったらまだわかるじゃないですか。ゴミ捨て行ってますとか、直立不動で、ずっと扉の方向を向いて立ってたんですよ。 僕も一瞬見て、怖くて、
山田
それは怖いですよ。
曽根
見えなくて、だったんですけど、最近、そのホラー映画とか見過ぎて、ホラー映画が1ミリも怖くなくなっちゃったんですよ。
山田
麻痺した。
曽根
麻痺したんすよ。だけど、そんな僕でも、あ、怖がれるんだと思って、 1時間後ぐらいたって、もう1回行こうと思って行ったら、さすがにいなかったんですけど、いや、あれはなんだ。
山田
それ、怖がれるんだっていうのに、嬉しかったんですか。
曽根
ちょっと嬉しかったです。
山田
その感覚わかんないな〜。
曽根
ちょっとね、だから変態になってきて、その、あの、前回のこの前編の、このラジオの前編でも言った、あの怖いトンネル。怖いトンネル。ロケハン行った時は3人だったんですよ。昼間でも中真っ暗なんですよ。で、その制作部の人とプロデューサーと僕と3人で、1番最初のロケハン行って。
曽根
「すいません、実はもう、あの、本当に心霊スポットなんです」みたいな。そんな心霊スポット連れてくんなよと思いながら、 そのトンネル、真っ暗んとこ歩くじゃないですか。で、最初はみんな携帯とかでこう、電気を照らしてたんですけど、「もう1回ちょっと全部切って」つって。
山田
誰が言ったんですか。
曽根
僕が。
山田
だからそういうことなんで言うんですか。
曽根
で、真っ暗なトンネルの中に立ったらどんな気分なのって思って。
山田
あ、やっぱそこですよね。
曽根
「ちょっと怖い」みたいな。
山田
そうなれるかどうかじゃないですか。もし私が同じだったら、もう絶対に入んないし、明かりは消したいと思わないんですよ。
曽根
でも、なんか、ちょっと怖いって思える自分がちょっと快感に感じてきて。
山田
それって、冒険したいみたいな、森の中に入ってちょっと行きたいみたいなことなんですか。
曽根
なんですかね、僕でも、うん、そういうのの方が、海外旅行とかちょっと怖いですし、そういう方が怖いっていうか、 霊的な恐怖っていうのをなんかちょっと感覚が麻痺ってきて。これ、ホラー作る人間としてはどうなんだろうなと思ってるのが悩みです。
山田
辛いものが好きで食べ過ぎて、なんかちょっとやそっとの辛さじゃもう満足できないみたいなことですか。
曽根
多分それに近いです。だから多分そういう人が料理作ると、死ぬほど辛かったりして、普通の人の下の感覚に合ってないみたいな。
山田
それは思って。今回ホラー出るんで、まあ色々過去のホラー見てみようと思って。ヒッチコックの『鳥』を観たんですよ。
曽根
随分懐かしいものを。
山田
ですよね。で、それからミッドサマーを見たんですよ。同じホラー。ま、ジャンルとしては ヒッチコックの方はお化けなんて出てこないし。
曽根
鳥が怖いだけですもんね。
山田
そうなんです。だから私でも見れたんですけど。でも、『ミッドサマー』でしたっけ。
曽根
はい。アリ・アスター監督の。
山田
あれはもう何分か後に怖い。めちゃくちゃ怖いのが出てくるじゃないですか。すごい過激な怖さになってて、 ホラーもなんか進化してるんだと思って。
曽根
え、でもアリ・アスターはだいぶ変態ですよ。ホラー監督の中でもだいぶ灰汁の強い。
山田
あれを見た時に、崖から人が落ちるシーンあるじゃないですか。あそこでもう断念して。
曽根
あれはね。わかります。あれはやっぱもうその先がわかってても、もうやめてやめてっていう。
山田
で、その時に思ったのは、なんでこんなに怖がらせられなきゃいけないんだろうって思ったんです。
曽根
それですね、ホラーを見る理由。いや、でも、僕もホラー作ったんですよって言うと、 やっぱり「なんでホラー見なきゃいけないの」みたいなことを言われて、 へこみながら「見てくださいよ」と思いながら、
山田
でも、その、演じるからには、恐怖の感情っていうのをどれだけリアルに感じられるんだろうって思って、スティーヴン・キングの本を読んでめくってたら、「恐怖っていうのは、今ここで感じる強烈な感情。自己が崩壊するほどの」って一行を見つけて、 え。自分が崩壊するほどの強い感情って日常生活ではほぼないな、だからそれをホラーって提供してんのかって思ったら、超大変だなと思いました。
曽根
俳優さん大変ですよね、ほんとに。あの、『ヘレディタリー』はご覧になられましたか。そのアリ・アスター監督の。
山田
そうです。『ヘレディタリー』はもう、曽根さんがこれはオススメだからって言って、『チェルノブイリ』と一緒にあったじゃないですか。『チェルノブイリ』も。『ヘレディタリー』も観ました。
曽根
『ヘレディタリー』のお芝居ってもうなんかちょっとえげつないことやってますよね。
なんか本当に本当にどういう気持ちでお芝居されてるんだろうとか思いながら。
山田
楽しそうですよね。でも、あそこまで振り切れると。
曽根
あー、そう見るんですね。
山田
あの、最初に見た時に、『ヘレディタリー』は、すごい最初から緊張感があるじゃないですか、みんな。「あ、この部屋になんかいるかも」って言った瞬間の身がぐってなる感じとか、 なんか野生動物を見るようで美しいなって思ったんですよ。純粋に。その緊張感っていうのはやっててもゾクゾクしたろうなとか 結構見てて、役者の視点で見ると、結構面白かったですね。
曽根
確かに。だからホラーって 作る側は面白いんですよね。見る側の方もちょっと楽しんでいただきたいなと思いつつ。皆さんにホラーを作るのをおすすめするラジオになって。
山田
え、そうなんですか。
曽根
嘘です。どうですか。じゃあ、これをきっかけにホラーもたくさん楽しんでいただいて。
山田
いや、もういいかなって思ってて。だって、曽根監督は霊感というか、お化けをたまに見るタイプの。
曽根
いや、違います。僕はお化け全く信じてないんです。
山田
でも、見てますよね。
曽根
たまたまでも見ちゃってるというか。その、ロケハンの時に、 誰も鳴ってない電話の音が全員に聞こえたとか、そういう体験をしたっていうだけです。 あれはなんだったんだろうといまだに思ってるんですけど、僕はでも幽霊信じてないんです。
山田
見てるのに信じてない。
曽根
はい。なんだったんだろうなって思ってはいますが。信じてらっしゃるんですね。
山田
うん。あの、私は見ないですけど、私の友人は結構見る人がいるんで、そういう人たちのあのお化けの話は今回ドラマの前に色々聞いて。 で、1人の女の人はね。寝てる時に自分の部屋にすごい気配がして、足音がして、誰かいるって思った時に、布団の中ですごい面白いポーズをとった。
曽根
誰がですか。
山田
その彼女がね。で、こんな面白いポーズとってる時に、お化けは襲ってこないだろうと思ったりとか。うん、そういう話は、ま、結構コメディだなと思いながら聞いていましたけど。
曽根
はいはい、面白いですね。確かに。なるほど。面白いポーズをして幽霊を退治するという。
山田
そう、あとはね、 あのお化けがいそうなところで、般若心経をね、ずっと言ってた友達がいたらしいんですよ。そしたらね、そのお化けがね、女の人でね、そんなものでいなくなると思ってるの。って言われたとか。
曽根
いや、僕、なんか怖い話聞くのはめっちゃ好きなんすよ。僕だから夜中、あの、ネットの怖い話ってあるじゃないすか。
山田
よく読みますよね。
曽根
2チャンネルの怖い話集とかあるんですよ。全部読んじゃいます。あれ。
山田
私はもう絶対触れないです。そういう世界。
曽根
触れてみてください。ちょっとこれをきっかけに。
山田
なんでですか。
曽根
楽しいですよって。なんなんですかね。ジェットコースターとかって乗られますか。
山田
大嫌いです。
曽根
あー、じゃあジェットコースターもなんで乗るの、みたいな。
山田
うん、意味わかりません。好きな人好きですよね。
曽根
そういう感覚に近いかもしれないですね。なんなんですかね。
山田
死ぬギリギリの体験をしたいみたいなことですか。
曽根
なんなんでしょう。生きてる感覚を。
山田
生きてるって思いたいっていうことか。
曽根
そうかもしれないです。
山田
エベレストに登って、酸欠状態になって凍傷になって「生きてる〜」って思うから。また登っちゃうみたいな。
曽根
ちょっとバカにしてません。
山田
いや、全然してません。
曽根
でも僕エベレスト登らないですけど、なんかそういう登る方の気持ちとかわかります。なんか達成感とか、そういう生きてる感覚みたいな。確かにそうかもしれないですね。
山田
生きてる感じ。あ、すごい重要なこと言ってたじゃないですか。あの、今回のドラマを作るときに、生きててよかったって、日常がありがたく思えるようなドラマにしたいって。
曽根
あ、そうなんですよ。
山田
もうそれ言ってましたね。
曽根
ゆってましたね。そんなこと。
山田
だから「生きてるだけで丸もうけ」ってね、最後旦那さんに言わせたりして。
曽根
さんまさんの名ゼリフをかりて、そうなんですよ。
山田
日常のありがたみを知るためにホラーを今回作りたいって言ってましたね、そういえば。
曽根
そうですよ。だから、ホラーはとっても健全なコンテンツなんです、そういう意味では。愛に溢れた。
山田
ただの、平凡な日常が、ホッとできるっていうか。
曽根
でもそれって大事じゃないですか。僕キャンプが好きで、キャンプも似てるなと思って。
山田
非日常に行くんですもんね。
曽根
非日常じゃないですか。でも多分、日常が便利すぎるんですよ。なんでもあって。
山田
コンビニとかね。
曽根
そうなんですよ。キャンプ嫌いな人って、なんでお金払ってまであんな不便なことしなきゃいけないんだ、みたいな。うそうなんですよ。まさにコンビニ行けばなんでも済むみたいなのが、 なんかちょっともう水も汲みに行って、やんなきゃいけないみたいな。でもこれありがたいね。普段っていう 蛇口ひねったら水飲めるってありがたいね、みたいな。
山田
なるほど、今やっとわかりました。意味が。
曽根
あじゃあ、ホラーいっぱい観てもらって。
山田
どうかな。
曽根
まあ、でも、ある意味、あれかもしれないですね。そういうのはなくても、多分充実してらっしゃるというか。
山田
までも、その、演技自体が緊張しいられることが多いので。終わった時、ホッとしたりとか。そういうのは、ありますよね。
曽根
お仕事からもう刺激を得ているというか。でも、舞台ってすごいですよね。
山田
もう、ほんとにね、自分を晒して死にたいって思うこともいっぱいありますしね。緊張で。
曽根
いや、ほんと、僕、舞台って、だってもう、その場勝負じゃないですか。
山田
はい。助けてくれないですもんね。
曽根
もう1回いきましょうってやれないじゃないですか。それすごいですね。
山田
この間見に来てくださってね、舞台を。
曽根
そうなんですよ。舞台はほんと1年に1回とかしか行かなくて。でも行くたびにやっぱなんか得るというか、 ものすごい得れるものがあって。でもその中で、やっぱ役者さんこれ大変だなっていうか、すごいなと思いました。
山田
もう常にホッとできてないんで、役者は。普段からホッとできてない環境にいるんで、ホッとしたいっていうのがあるから。今更ホラーとかさらにホッとできないよ、みたいな。
曽根
なるほど。ホラー見なくても。ホッとできる映画の方がそうなんですね。じゃあ役者さん以外の方は楽しんでいただいて。
山田
そうかもしれませんとか言って。でも役者でもね、好きな人いるかもしれないし。
曽根
いらっしゃいますよね。
山田
タイプだと思います。
曽根
でもやっぱ作り手に結構いますね、ホラー好きは。
山田
あ、そうですか。
曽根
ホラーは作りたいっていうのはよく聞きます。だからホラーね、なんか今回やれたのはめちゃくちゃありがたかったですけども。今後もじゃあ、はい、ホラーに出演いただいて、どんな締め方やねんっていう感じですよね。 ちょっと僕、あの、そうなんです、うちのスタッフが色々台本を作ってくれたので。
曽根
なんかそっちにもいい加減触れろよって感じですよね。はい。「憑きそい」をどのような人に観てほしいか。
山田
今の話です。日常のありがたみを感じたいっていう。
曽根
そうなんですよ。だから、なんかちょっとこの日々の生活に刺激足りないよみたいな人は 是非。もう、いろんな角度で怖がらせに行ってるので。今回よかったなと思うのは、ま、全9話で、連ドラのようで連ドラでないというか。
山田
そうですよね、
曽根
結構その、1話完結、1話完結型で。監督も、僕含め4人の監督でいろんな回やってるので、結構テイストが毎回違うかったりして。
山田
全然違いましたよね。全部一気に見たんですけど。それも1人で見れないんで、友達んちで見た んですよスイカ食べながら、 こわ。とか思いながら。でもなんか全然違いますよね、なんか山口監督の時、どうしても私笑っちゃって。
曽根
僕も同じです。結構僕も色々SNSとかではいろんなコメント見てたんすけど、 やっぱあれがめっちゃ怖いっていう人とかもいて、やっぱその、タイプが分かれるっていうか、その、やっぱこの効くツボが人によってやっぱ違うんだなっていうのが。 だから、皆さん、この話が怖くて、この話は怖くなかったみたいなのが一致しないというか。
山田
いや、それ思ってゾッとするポイントって違うじゃないですか。 私、ゾッとするいろんな写真とか絵とか言葉とか集めたんですよ、今回。で、台本に貼ったんですけども、おぞましくて見たくないのがあって。あのね、お化けの絵とかじゃないんですけど。ヤツメウナギのね、吸盤が張り付いて、すっごいおぞましいと思って。
曽根
それ、わかります。
山田
だけど、それを見ても何にも感じない人いるじゃないですか。
曽根
あー、そうか、そうなんですね。
山田
その何が、私の中の何がこの写真。ひどいなこの写真。と思ってもうプリントしたんですけど、コンビニで。もう、こんな感じです。紙の端っこ持って。
曽根
僕もだって、子供の時図鑑で家にあった図鑑に、あの、なんかあれですよね、こう同じ吸盤がじーってなってるやつですよね。
山田
人、人っていうか、魚に寄生して、血を吸って、こうなんか蛇みたいな。
曽根
それ、あれじゃないですか。ガラス越しに撮ってるやつですよね。
山田
そう、日本のウィキペディアはそうで、海外のウィキペディアでは、ヤツメウナギのその姿じゃなくて、全身を写してるのに、日本だけはその吸盤の方向けて悪意があると思って。
曽根
いや、僕もあれ図鑑で子供の時見て、ちょっとトラウマです。それ、わかります。そっか、でも、あれを平気な人もいるんだ。
山田
でも怖くないっていう人もいるから、怖さのポイントは、自分の中にある何かとリンクしてて、自分の中の何かの要素と、おぞましさって、 あの鳥肌が立つ瞬間っていうのはリンクしてるんだろなと。
曽根
なるほど。じゃあ、そういう自分発見のためにも、全9話見ていただいて、あ、自分はこれが怖いんだみたいな。
山田
多分、記憶とかとも関係してると思うんですけどね。
曽根
なるほど、そうなんですかね。 そう、だから、そういう意味ではね、なんかいろんな怖いツボをこう押しながらっていうのは、なんか9話それぞれ やれてよかったなとか思うんですけどね。
曽根
なんか、あの、SNSで結構、あの不気味な笑顔の男性の顔が。 第1話ですね。第1話で、事故の駅ですね。飛び込むその幽霊みたいなのがいて、 あれの制作秘話みたいな。
山田
制作秘話。あの笑顔をどういうふうに演出されたんですか。
曽根
笑顔は。もうこれ、演出というか形じゃないですか。そう。でも、あの、なんか漫画を見て、漫画でもう口がめっちゃくって上がってるみたいな。で、そのインパクトがすごくて、これ実写でどうやるんだろうみたいなのは色々実験をして、うんま、じゃ、特殊メイクでやるのがいいのか、ちょっと編集でやるのがいいのかみたいな。 でも、やっぱり、あの役者さんがやっぱ結構大事というか。
山田
立ってるだけで怖い雰囲気ありましたよね。
曽根
そうなんですよ。なんか別の作品で、笑う男みたいなのされてて。
山田
あ、怖い作品ですか。
曽根
それの顔で、この人だみたいな感じで選ばせていただいて、それで、いろんな表情を。それも実験というか、撮らせていただいて、もうちょっと、こう、上げてみましょう、口角上げてみましょうみたいな、その笑顔テストみたいなのを結構しつこくやりまして、で、そのまま、撮った写真を、CGというか加工してくださる方に、じゃ、どれぐらい、ちょっと、あんまりやりすぎると、やっぱ、コメディっていうか、面白くなっちゃうんで。
山田
バランス。
曽根
そうなんですよね、ちょうど、面白いまでいかないけど、怖いを保てる口角の上げ方みたいなのを、 こう色々実験したという。だから、その特殊メイク的な要素と、俳優さんの表情の作り方と、最後、編集というか、CGというか、加工する部分の3つのバランスが 結構ピタッとはまって、あの顔になった。
山田
異様ですもんね。特にお化けっぽいメイクしてないのに、なんか異様な感じ。
曽根
そうなんですよね。で、結局思ったのは、やっぱ人間が1番怖いんだなっていう。あんまり、やっぱ幽霊幽霊しすぎちゃうと。やっぱなんかちょっと 非現実すぎて怖くないっていうか。だから、やっぱ結構人間的な要素を残しつつがいいんだなと思って。でも、1番嬉しかったのは、原作者の山森めぐみさんが、ツイートされてて、あの顔について綿密なおし打ち合わせを、ご本人とはできなかったんですけど、「そういうのやってないのに。私が見たのは、あの顔でした。」っておっしゃってたんです。
山田
えー。それはすごいですね。
曽根
そう。だから、それはすごい嬉しかったです。だから、あの漫画を見ただけなんですけども。多分それは偶然的一致というか。
山田
でもまあ、微妙なラインを狙って、これだ。って思った曽根さんの作り上げたイメージじゃないですか、実写は。 それが創作された山森さんと完全に一致してたってのは、やっぱりすごいですね。
曽根
そうなんですよ。でも逆に、だから、山森さんって、体験されてるわけじゃないですか。実際に見られたわけじゃないですか。 あれ、実際に見られたんだと思って、それめっちゃ怖いなっていう。だから、その嬉しかったと怖かったが同時に襲ってきたみたいな感じだったんですけどね。 それはちょっと作ってよかったなと思った、そんな表情もちょっと是非FODの方でですね、「憑きそい」見ていただきたいですけど。
曽根
山田さんにじゃあ最後に聞いていいですか。なんか、このホラーを経て、今後なんかどんなことにチャレンジされたりとかありますか。なんかその、 唯一やってなかった感情だったっておっしゃられてたじゃないですか。
山田
恐怖ですよね。うーん、無感情とか、 感情を表現するっていうのは役者は求められるんですけど。無でいるとか、何かこう、さっき曽根さんも何考えてるんだろうこの人っていう喜怒哀楽以外の表現っていうのは、あまり求められないことが多くて。やっぱり人間の感情を解放するような場面は描かれるんですけど、そうじゃないものってなんだろうなっていう。ただたたずんでいるとか、 その中で何を感じてるんだろうって想像させるようなことは、大人っぽいし、やってみたいなって思いましたね。
曽根
いいですね。いや、なんかちょうど今日、『キラー・ビー』っていうドラマがあって、それめちゃくちゃ面白くて。
山田
どこの国ですか。
曽根
アメリカの、チャイルディッシュ・ガンビーノっていうアーティストが。
山田
ラッパーですよね。
曽根
そうですそうです、ドナルド・グローヴァーっていう名前に変えて、ペンネーム的な感じで監督してるんですよ。それが本当に、主演が、女性の連続殺人鬼なんですけど、ほぼ無表情っていうか。
山田
何考えてるか。
曽根
何考えてるかわかんないです。でも、無表情で、ちょっと首ひねりながら涙だけポロってこぼしたりとか。
山田
そういうの、すごいやってみたい、
曽根
ちょっと見たいです。山田さんが演じられてるの。
山田
そう。何考えてんだろうって想像させることをなんかたくさんできたらいいですよね。 こう感じてるんですよっていうのを説明するんじゃなくて。
曽根
面白いですよね。
山田
見る人もきっと推理っていうか、いろんな捉え方できるじゃないですか。
曽根
そうなんですよ。だからなんかちょっと僕も作り手としてこう、時々自分に危機感感じるのは、なんかこれ分かってもらわなきゃいけないんじゃないかとか思うんすけど。意外と視聴者視点に立つと 何考えてんだろこいつみたいな。君は好きだ、君のこと好きだよって言ってるけど、ほんとにお前好きなのか。みたいな瞬間の方が面白くて、 そういうの探求できる作品っていいなって思うし、そういうの作りたいですね。
山田
何度も見れるし、確かに見るたびに違ったりするから。
曽根
そうなんですよ。だから僕も実は、「キラー・ビー」を見たと言いながら、今日2周目で、2周目でも、これどういうことなんだ、どう思ってんだ。
山田
Bって、あのアルファベットのBですか。
曽根
蜂ですね、殺す蜂。ぜひ、あの「キラー・ビー」。あれ?違いますよ、FOD「憑きそい」ですよ。
曽根
FOD「憑きそい」を観ていただかないといけないのに、いつの間にか「キラー・ビー」の番宣をAmazonプライムでとか言って。怒られます、FODさんに。
山田
いいじゃないですか。
曽根
ついでに。 どっちも。それぞれの面白さがあるので、
山田
ほんと好きなんですね。ホラー。
曽根
いやもう最近はもうホラーばっか観てるんでよくわかんなくなってきましたが。
山田
たまには箸休みで違うのも観てください。
曽根
なんか僕観るやつ、だいたい誰か死にますね。なんなんだろう。
山田
何にも起こらないのみたらいいじゃないですか。
曽根
でもね、『めがね』とか大好きですよ。『めがね』っていう荻上直子さんの、あれ大好きなんです。
山田
言い訳みたいに聞こえます。
曽根
ほんとですか。いやあれ、僕大好きで、ほんとに。
山田
『めがね』は人死んでないですか。
曽根
何も起こらない。ただ美味しそうにご飯食べて、海辺で過ごすだけの映画。
山田
曽根さんのそういうの観てみたいです。
曽根
どういうことっすか。あ、僕がですか。多分ね、こう殴り合ったりしちゃうんですよね、すぐ。なんかそうなんですよ、なんか脚本書いてての、アクションとホラーが好きで、すぐなんかそういうのやっちゃうんで。
山田
1回は封印して、違うのやるとそのありがたみがわかるかも。
曽根
なるほど。ホラーの要素と一緒で、1回はね、縛ってみるっていう。
山田
で、ホラーのありがたみがわかると。
曽根
そしたらもう次、ホラーばっかになっちゃうじゃん。
山田
反動で。
曽根
はい。というわけで、ありがとうございました。いろいろお話を聞かせていただきまして。それではですね、あの、 俳優の山田真歩さんと、監督、私曽根隼人でお送りしてまいりました。 じゃあ、あのFODドラマ「憑きそい」もですね。ぜひご覧いただければと思います。はい、ありがとうございまし。
山田
ありがとうございました。