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2024.7.12

#20《愛知県刈谷日劇×BABEL LABEL広報》70年もの歴史を刻んだ、世界へと繋がる場所

#20《愛知県刈谷日劇×BABEL LABEL広報》70年もの歴史を刻んだ、世界へと繋がる場所

BABEL Wave#20

《内容》
・70年続く映画館の歴史
・刈谷日劇さんの魅力、そして映画とは何か
・BABEL LABELの作品や監督について
是非お聴き下さい🎧

視聴リンク
https://podcasters.spotify.com/pod/show/babel-label/episodes/20BABEL-LABEL70-e2luerk

[文字起こし]


はい、始まりましたBABEL Wave。今回は出張会ということでBABEL LABEL広報の金と石村が愛知県の刈谷日劇さんにお邪魔しております。
刈谷日劇さんは愛知県刈谷市にあり、開館して70年もの歴史がある単館劇場で、刈谷市内に存在する唯一の映画館です。藤井道人が監督を務めた映画「青の帰り道」や「デイアンドナイト」 山口健人監督の映画「生きててごめんなさい」などBABEL LABELの監督が制作に携わった作品の再上映や、6月から7月にかけてBABEL LABELWEEKを企画されるなど、BABEL LABELとしても繋がりを感じさせていただいている劇場になります。
今回はそんな刈谷日劇の支配人堀部さんとスタッフの渋谷さんにお時間をいただきました。堀部さん、渋谷さん、よろしくお願いいたします。

堀部 ・渋谷
よろしくお願いします。


はい、早速なんですけれども刈谷日劇さん、今年で70周年を迎えられるということで、70年続いている劇場は他にあるんでしょうか。

堀部
うちはだから昭和29年に開館しました。で、ちょうど 1954年なので、70年っていう形になります今年で。で、刈谷市内はその当時から一応3つ映画館はあったんです。
3つ映画館あったんですけど、平成の中盤位で無くなりまして、どこも。で、 状況としてはどこの映画館も一緒だと思うんですけど、シネコンが出来ていく中で皆さんも廃業していったっていう形になるんですけど、なんとかDCPの投資とかも苦しいながらもやった中で、昔は洋画のロードショーをずっとやっていたんですけれども。そういう中で、ちょっとシネコンに洋画の新作は移行していく中で色々模索をしながら 続けてきて70年経ったっていう、そういうような状況ですね。

石村
凄い長いですよね

堀部
そうです。それで私は今、支配人って形なんですけども、祖父が創業しまして、 映画館が家業であったっていう形で、今家業を継いで3代目として支配人をやっていると。
ちょうど2019年、5年前から支配入っていう形で番組編成含めて関わって今やっている状況です。はい。

石村
「青の帰り道」の話に繋がる、あれでもありますけどね。
はい、ごめんなさい。カットで。今凄い2019年の「青の帰り道」の話したかったけど我慢しないとと思って。


そんな歴史ある刈谷日劇さんの強みってなんだと思いますか、ズバリ

堀部
そうですね。時代の変化に対応してきたことが、今ちゃんとこういった形でいろんな映画好きの方に指示されて残って、ちゃんと営業できてるっていう形だと思ってます。

渋谷
そうですね。ちょっと下世話な話になっちゃうんですけど、まず無料駐車場があるっていうところが本当に強くて。愛知県でミニシアター 行こうと思うと、どうしてもそこにお金が凄いかかっちゃうんですよ。駐車場台、電車代、バス代、それだけで映画1本分位になっちゃうんですけど。
僕は名古屋でこの映画館に通ってる時、もう車でパーっと1時間位はかかるんですけど、無料駐車場があるので、本当にそこは気にせず映画館の料金だけで見れる。
なんで、うちのお客様でやっぱり近隣から、もしくはもう岡崎とか豊田、瀬戸、ちょっと遠いとこになるんだけど、 そういうところから来られる方も車でやっぱり気軽に来れるんですよ。これって本当に強いんですよね。他の映画館の方から本当に羨ましがられるところで、 と、刈谷っていう場所って本当に文化的に凄く充実してて、この刈谷日劇の近くになんと美術館と図書館があるんですよ。僕、 刈谷日劇に映画見に来た帰りに図書館に寄ったり、もしくはこの映画館に行く前に美術館に寄ったりとか、そういう風にこうハシゴして文化施設を渡っていけるので、 これもまためちゃくちゃ強いのと。あと、この映画館、他の映画館に比べて、こう意図的に明確なカラーって打ち出してないんですよ。例えば、うちはB級が強いとか、うちはヨーロッパのものが強い、ドキュメンタリーが強い、そういうところって あるんですけど、客観的に見て、やっぱりそれ以外をやった時に、そのお客様から「何でらしくないことをするんだよ」っていうようなちょっと圧力生まれちゃうんですよ。だけど、うちは意図的にこういうものだよ、うちはこういうカラーだよって打ち出してない。面白いものはなんでもやる、見たいものを極力見せてあげられる環境を作るっていう。こう、裾の広い環境でやっているので、 いろんな映画を無理なく入れてセレクトショップみたいに提供できるっていうのはめちゃくちゃ強みです。なんでもう安心してどんどん面白いものを ガンガン並べられるって、これはもう一映画ファンとしても、この並び本当にもうたまらんぞっていう。1日居れるっていう状況をうちは作ってるんで、 なんでお客様は楽しんで笑顔で帰っていただいてるのかなとは思います。

石村
私、刈谷日劇さんのtwitter、Xとかインスタとかも拝見しているんですけど、インスタは凄いスタイリッシュで、刈谷日劇さんって調べてどんなインスタなんだろうって見てみた時に衝撃を受けたんです。白黒の画像で凄いカッコよくて、なんかスタイリッシュやなと思ってて。Xも結構発信とかも、たくさんされているんですけど、やっぱなんか型を作ってないというか、その時にやっぱ流すべきものを流してるっていう、その企画性みたいなところが凄い楽しいなと思って。やっぱり単館劇場でしか出来ない映画の編成の作り方なんだなと思って。はい、凄い面白いなと思いました。

渋谷
ありがとうございます。Xは自分が命込めてやらせていただいてるんですけど、ホームページっていう軸があるので、ホームページに来ていただければ、作品何が上映されているか、そしてその作品の内容っていうのも知ることができるので、ホームページをきっちり軸に置きつつ、Xに関してはエンターテイメントだと思ってやっているので、その時推すべき、その時注力すべき、その時なんだろう、1番こうホットなもの、面白いものっていうのを、ちょっと意図的に作品に合わせて、その作品のテイストを抽出して、ちょっと面白く、面白おかしくして、写真もつけて、 Xはポストさせていただいてますね。

石村
言葉選びもカッコいいって毎回思っているんですけど、もしリスナーさん聞いていただいてる方、今手元にスマホがあったらぜひXで刈谷日劇さん見ていただきたいんですけど、凄い言葉選びも心に残るというか、印象的な言葉なのでチェックしてください。

渋谷
よろしくお願いします。心にドンと残していく。ありがとうございます。


続いて、単刀直入にお伺いしてしまうんですけれども、刈谷日劇さんが思う映画館っていうのはどういう場所ですか。

堀部
やっぱり世界に繋がる文化の場だと思ってます。映画ってやっぱりいろんな側面でいろんなところを切り取って、いろんなことを知ることができるっていう面では貴重なメディアだと思うんですよ。尚且つ自然とかではかからないようなマニアックなドキュメンタリーだったりとか、そういったところも、こういった地方の人々に見てもらえるっていう面では、本当に世界に繋がる場だと思って。そういう面で映画館ってとっても重要な役割を果たしてるんだなっていうのは 日々思いながら運営してます。

渋谷
自分がですね、元々美術館とか図書館とかで働いてたんです。なんで文化施設っていうのを凄く大事にしていて。ただその文化施設に勤めていると、映画館ってどうしてもエンタメでしょとか、 どうしてもこう娯楽でしょっていう目で凄く見られてました、実際に。ただ自分はこの“やかた”館って付くものは、美術館、博物館、図書館と同様に、映画館って決してそこに劣るものじゃないって思ってます。なので、そうなるために、やはり美術館、博物館、図書館、同様に、文化施設としてのこう役割と責任を自覚的に自分たちは担っていくと。なので、上映してる映画の知識とか文化的背景、ジャンルに対しての造形を深めるだけじゃなく、映画だけ自分たちは知ってれば良いというのではなく、きちんとこう、政治も含めてですけど、きちんとなんか世の中とコミットする場で、それをお客様と一緒に、なんだろう、楽しんで、こう文化施設として認めてもらえるように、なんかこうしていかなくちゃいけないんじゃないかな。今後の映画館は、ミニシアターは比較的そういう意識っていうのはやっぱりあるんですけど、どうしてもこう、シネコンさんってどうしてもこの、なんだろう、エンターテイメントの場所だっていう意識が凄くこうお客様から見られがちなので。なんで、 個人的にはですよ、共通意識として、文化施設の場っていうものを強く持ってなんかこう、映画館はしていかないと、これからの日本の芸術水準の中とかでも、どうしてもちょっと低く見られてしまっているのが、その文化設備が自分からすると現状なので、そういう意識を持って映画館はちょっと育てるじゃないですか。ちょっと向き合っていかないとなとは思っています。

石村
渋谷さんは、何をきっかけに刈谷日劇さんに出会われて入ったっていう…

渋谷
凄い好きな見たかった映画があって、それがどこもやってなかったんですよ。で、それをバーって検索したら、さっきもちょっとお伝えさせていただいたんですけど、映画.comで検索してたら、刈谷日劇って出て、「えー、何これ。こんな映画館あったんだ」って言って来たら、この建物じゃないですか。で「ミニシアターだ、ザミニシアターが刈谷にあった」みたいな衝撃が本当に最初あって、はい。で、ビクビクしながら5階に行ったら、映画館なのか。映画を見たら、もうこんな本当にもう、これ聞いてる方々に本当伝えたいです。はい、こんなに映画体験できるところは他に無いです。無いですと言っちゃあれですね、個人的にですよ、 映画を鑑賞って言葉を使うんですけど、僕は体験だと思ってて。映画を見に行くわくわく感、刈谷に向かうわくわく感、そして階段上っていく、エレベーターを上がってく。そしてカウンターでドキドキしながらチケットを買って、映画館を見る。映画を見る。ミニシアターのこの小さい、このいかにも劇場っていう環境で見る。で、見終わった後が本当にまた素晴らしくて。おすすめなのは夜です。映画を見終わったあと、外が真っ暗なんですよ。刈谷の町並みが。これ、映画に世界に没入することができる条件で、どことは言えないですけど、やっぱりシネコンとかだと映画を見終わったあとどうしてもゲームセンターの音とか飲食店の音とかがやっぱりこうしてて、どうしてもこの映画の世界から急に現実に戻されちゃうっていうのが凄くあって、なんか個人的には寂しいなって思うのがあったんですけど、ここは見終わった後家に帰るまでが 映画なので、車に乗って真っ暗な刈谷の道を自宅に向けて走ってるその時も映画の邪魔されないんですよ。だからこれ以上刈谷市駅周りが栄えないでほしいなって思いもある。

石村
私も今日は刈谷日劇さんで初めて映画を拝見させていただき、涙しました。

渋谷
ありがとうございます。そうなんです。映画プラスなんとも言えない、本当にミニシアターで見たっていう多交換とかが本当にある映画館なんで、僕は働きつつもやはりここの大ファンなので、もっとここで映画体験を皆さんにしていただきたいですね。

石村
なんかエレベーターを上がってきて、エレベーターが開いた先ってどうなってるんだろうっていうワクワク感、今日凄くあって。それで凄い入る時緊張して、出た瞬間に
支配人の堀部さんが居たらどうしようって。いらっしゃったら…なんか凄い緊張しながら上がってきて。そしたら、エレベーターの中にもポスターとかも色々貼ってたので、写真も撮って。エレベーター 開いた先にもポスターが。番組編成のラインナップもあったんで、そこで写真撮らせていただいて。で刈谷日劇さん入らせていただいて、そしたら堀部さんが目の前。なんて言うんですかね、チケットを確認いるところで、あ、堀部さんだっていう風な。ずっとzoomでしかお会いしたことがなかったので。

堀部
実は上から下が見えるんですけど、石井さんがいるの見えてたんですよ。
ああ、居るなっていうのがもう見えて。あ、そろそろって準備。こちらも準備して、 それはもう迎える側としてはもうね、大体通るとこ見える。駅から。駅から来る道が丸見えなので。

石村
そうだったんですね。

堀部
そうですね。駅から来るところでね、映画館のところまで丸っと見えるんで。

石村
すぐ近いですもんね。歩いて1分ぐらいの距離。

渋谷
通称刈谷のレッドカーペットって言われる道

石村
皆さんぜひ歩いてみてください。はい。

渋谷
刈谷のレッドカーペットをぜひランウェイしてください。


今エレベーターでほんとにBABEL LABELWEEKみたいなことを考えてくださってて、本当にありがとうございます。今日も「朽ちないサクラ」で原の登壇、本当にありがとうございます。 この「朽ちないサクラ」のロケ地が刈谷日劇さんの近くという風にお伺いしたんですけれども、具体的にこの辺り?

堀部
そうですね。ワンシーンだけだったんですけども、どうしてもなんかマンションの入口のロケが必要だっていうことで、 制作部の方から連絡を受けまして。 でもここで撮りたいっていうところで、もう場所選んでたみたいで。それがたまたまうちの近所だったんですけど、そこで車を置く場所とか、そこらへんは控え室、メイク室とか、そこら辺のことを準備 するのをちょっと一緒に手伝ってあげたっていう、そういう流れがあったんですよ。料亭1回目の最初の料亭を出てタクシーを降りるシーン。

石村
はいはい

堀部
あそこだったんですけど。でもなぜかタクシーの斜め迎えに1台車止まってるじゃないですか。あそこでちゃんと伏線のシーンじゃないですかあそこって。なんでタクシー降りると僕は台本とか読んでないんで、タクシー降りるシーンなのに、なんであそこにカメラが映る範囲に1台車置いてあるんだろうって当時は気になってました。はい、 実は伏線。でも、なんかあるんだろうなって。あそこには誰がいるんだろうってかなり聞いてました。はい。ええ、そういう思いで。ちょうど1年前でしたね。ちょうど1年前で、そん時にプロデューサーの方に原監督紹介してもらって。で、 ちょうど藤井監督が舞台挨拶をやるちょっと前だったんですよね。うちで。で、今度うちの藤井がお世話になりますって言って。撮影中なのにこんな気使ってもらって申し訳ないなと思いながら。なんで今日、それ以来お会いするのは。


刈谷日劇さんは、あの藤井が監督した「青の帰り道」を2019年に再上映していただいて、全国に映画が広まるきっかけにもなったと思うんですけれども「青の帰り道」を再上映された経緯を教えていただけますか。

堀部
先ほどもちょっと話したんですけども、2019年に私が本格的に劇場の運営をやることになりまして、当時は番組編成含めて全部父親から引き継いで、まだ半年も経っていないタイミングでした。 で、本当に配給会社さんの連絡先とかも手探りで探っているような恥ずかしながらそういう状況の中で「青の帰り道」のポスター見て、NexToneさんはどこだろう、ティ・ジョイさんはどこだろうみたいな感じでアプローチをしてい たことは鮮明に覚えてます。で、特に意識せず、このちょうど2019年 の3月の終わりだったんですけどね、上映したのが。ちょうど2018年の「青の帰り道」2018年の12月の公開の作品だったと思うんですけれども、地方都市で1館2館ぐらいしかもう上映がやってない状況で、多分うちで上映するのは最後だろうなって思いで「青の帰り道」を上映したことを覚えてます。で、4月1週目、2週目になって1周目よりも2週目の方がお客さん増えた。2周目よりも3週目のお客さん増えた。あれ、なんでだろう。って不思議にちょっと考えてたりして。で、ゴールデンウィークもこのままの流れでやったらもっとお客さん来るよねていうことで、あの当時だったら、あのドラマ、1、3月期のドラマで横浜流星さんの作品が相当注目されていたタイミングだったんで、それで、ゴールデンウィークになったら、みんなこういう映画あるんだっていうことで、結構、連休中は遠くからお客さん来ていただいて、で、私にとっても、自分で番組編成して半年も経たない中で最初にこれヒットしたっていう、僕にとっても私にとっても最初のヒット作品だったんで、とてももう忘れられない作品になりました。その後に東京のアップルリンクさんで再上映したことがあって、2019年の夏、秋ですかね、初めてうちと、刈谷日劇と新潟のシネ・ウインドさんで。2019年に藤井道人特集っていうのを最初にやった劇場がうちとシネ・ウインドさん。そういう流れになります。2019年は。

石村
この半年「青の帰り道」の半年間みたいな。

堀部
そうですね。だから「青の帰り道」があって、それで「デイアンドナイト」も一緒に、その後、再上映で特集でやって、こういう作品、中々こういう監督とこういう作品と巡り合えたこと、とてもなんか凄くありがたかったし、日本で最初に藤井道人さんの特集をやれたっていうのも大変思い出になりました。

石村
その後にも2021年でしたっけ、特集をやって頂いて

堀部
そう、2023年にもコロナ開けたタイミングで藤井道人特集を再度やらしてもらって「余命10年」とか含めて。そん時にはもうヒットメーカーとしての藤井道人特集になってたんで、そういう面ではね、あれきっかけてはありましたけど、本当にいい監督と巡り合えたことは劇場にとっては大変嬉しかったって記憶です。

石村
BABEL LABELとしても凄い「青の帰り道」を定期的に上映していただいている刈谷日劇さん、もう本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、私自身も「青の帰り道」はとっても思い出というか、大切な作品で、上京のきっかけになっている作品になるので、再上映していただいたから、私が今東京に居るのかなって言っても過言ではないかもしれないとも思っているんで、本当にありがとうございます。

堀部
こちらこそありがとうございます。なんで、そういうご縁もありまして「青の帰り道」のプロデューサーの伊藤主税さん、and picturesの伊藤さんなんかも、いまだにうちのことを聖地って呼んでいただいていまして。 先月の別の作品に来てもらったりとか、年に数回定期的に来て、いろんな作品で関わることができて、そういった面でもやっぱ全ては「青の帰り道」に行きつくっていうのが僕の中でも現体験であるんですよね。


ありがとうございます。「青の帰り道」もそうだと思うんですけれども、ちょっと私たちからお伺いしてしまうのも恐縮なんですが、BABEL LABELで好きな作品だったり注目している監督はいらっしゃったりしますか。

堀部
僕は、だから最初に特集した時に「デイアンドナイト」を見た時に、やっぱりあの重い雰囲気が大変好きで、あぁいう通底した暗い、ドーンと来るものが大変好きで。で、そん時に山田孝之さんがプロデューサーだったっていうことも初めて知って、こういうこともやられる方なんだなっていうのを知ったきっかけでもあって。その後に山田孝之さんがプロデュース、監督やられたあの「ゾッキ」も2021年の上映でしたかね。そこでもそういうことに繋がったっていう意味で、やっぱ藤井監督作品をきっかけに本当にいろんな面で広がっていったっていうことで、好きなのは私「デイアンドナイト」でしたね。

石村
渋谷さんはアペラのことを…

渋谷
推してる監督も注目してる監督、今のご質問だった注目してる監督はもちろんアベラさんです。作品はめちゃくちゃあるんですけど、いいですか。まず、藤井監督の「ヤクザと家族」と、これセットになるんですけど。MILLENNIUM PARADEさんの「FAMILIA」ってMV、あれは「ヤクザと家族」とミレパノの曲って繋がってるじゃないですか。その後の世界で。で、これなんでこの作品がここまで好きかっていうと、この作品が公開される前をほんとに藤井監督と綾野剛さんと常田大希さんが3人でクリエイティブを語り合うっていうのを雑誌とか、このメディアとかでめちゃくちゃ目にしてて、この3人って自分の中でその芸術とかクリエイトに対して妥協しない。ただ、その中で、常田さんってまだKing Gnuとして出始めの頃で、けど彼ももうその時点ではもうなんだろう。確立したのを持っている。この3人がめちゃくちゃ高い意識を持って1つの作品に向かってるって、ちょっとやっぱ自分もまずい。本を見てるだけでもこう、文章追ってるだけでも凄い。ちょっとこう、あ、落ちた。これダメだ。で、作品の熱量。 自分にとってはもうなんだろう。自分が仕事をしている、なんか仕事のスタンスっていうところに考えても、凄く大事な作品だったり、考えさせられる、なんか経緯のあった作品だったりします。あとはドラマがめちゃくちゃあって、もう、アベラさんで言うと「日本ボロ宿紀行」大好きで「量産型リコ」「旅するサンドイッチ」で、今日来ていただいてる原監督はめっちゃこれ大好きなんですよ「八月は夜のバッティングセンターで。」そう、めっちゃ大好きで、これも中村トオルさん最高。 エンディングまでも含めてもう最高で。で、これもしかしたらもう殿堂入りかもしれないですけど「耳に合いましたら。」大好きで。この当時、なんかよく違う職場だったんですけど、みんなでお耳ポーズしてました。大好きすぎて、それこそPodcastの話大好きです。

石村
私もその現場にずっと居て。

渋谷
そうなんですね、めっちゃ大好きです。なんで、ほんとにエンディングが毎回違うとことかも可愛いし。

石村
そうですよね。毎回エンディングが違って。現場もまだAP始めて間もない頃だったんですけど、凄い色々大変なこともありましたけど、でもやっぱりなんか現場の雰囲気が凄い良くて、楽しくて。ストーリーがやっぱり温かいストーリーじゃないですか。だからそれだけ現場もあったかいような感じになってて。

渋谷
うわ、ファンとしてはたまんないです。BABELの子を描く伊藤万理華さんっていうのも本当に凄い好きで、それこそサンドイッチもそうですけど、この組み合わせならとか思わせてくれるのがやっぱBABELさんの凄いとこですよね。

石村
「サンドイッチ」と「量産型リコ」は畑中もしてて、アベラ畑中ペアが

渋谷
たまんないですね。

石村
結構なんか組み合わせ、なんかアベラ畑中は組み合わせっていうものが私の中でもあるので、凄い面白い作品です。

渋谷
深夜ドラマも本当にBABELさんのお世話になりっぱなしなんで。常にチェックさせていただきます。

石村
ありがとうございます。


たくさんの大好きありがとうございます。

渋谷
大好きです。


今後、刈谷日劇さんのなんか展望だったり、こういうことやっていきたいみたいなことってあったりしますか。

堀部
業界的にはね、いわゆる刈谷って東名阪ではないローカルな位置付けではあるとは思うんですけども、そこを強みにですね、やっぱり三河地区唯一のミニシアターとして さらに認知を広げていきたいし、今回の「朽ちないサクラ」みたいに、東京で映画を作ってる人たちにとっても結構蒲郡とか豊橋とか近いので、便利な撮影場所としても 東京の制作陣の方々にも劇場としてもらって、 こういう風に撮影とかにも色々協力してくれる劇場があるんだよみたいなことで認知を広げていっていければなみたいなこと考えてて。やっぱ撮休日とかにスタッフの方が 映画見に来たよみたいな、来てくれたりとか時々あるんですよ。そういうこともなんかしてもらいたいなっていうような、 やっぱそこでさっき言ったような独特の映画体験っていうのをしてもらいたいなっていう風にちょっと思ってます。

渋谷
じゃ、ちょっと僕好きな言葉があるんで、ちょっと喋らせてもらいます。中村勘三郎さんの「型があるから型破り、型がなければ単なる形無し」っていう言葉があるんですけど、刈谷日劇もお客様のニーズとか、もちろんかけるべき映画、今の時代かけるべき映画、お客様のニーズっていう本当基本的なところしっかり抑えつつ、本当に必要最低限しっかりちゃんと抑えつつ、なんかこう型破りで大胆な発想を打ち出すような場所で、それはもしかしたら実験的な雰囲気に見えるかもしれない、なんかこう、行き過ぎた、もしかしたら仕掛けかもしれないですけど、やっぱそういう大胆な、他では見れないところを打ち出していきたいです。それはもう、なんだろう、映画館としてユニークっていう枠ではなく、世の中全体のクリエーションとかの中でもこんなことはなかった、映画館っていう枠じゃなく、こんなものは見たことがない、こんなのは初めてだ、世の中で見ても。っていうようなことをやっぱりしていきたいなと思います。

石村
凄い。これからも刈谷日劇さんどのような企画をされていくのか凄い楽しみなんで、Xで追うようにします。

渋谷
はい、ごめんなさい。ちょっとこう匂わせたりします。小出しするよって。


はい。もっともっとお話聞きたいところなんですけれども、そろそろ終わりのお時間が近づいてまいりました。堀部さん、渋谷さん、本日は本当に熱いいろんなお話聞かせていただき、ありがとうございます。

堀部 ・渋谷
ありがとうございました。

BABEL Wave#20

《内容》
・70年続く映画館の歴史
・刈谷日劇さんの魅力、そして映画とは何か
・BABEL LABELの作品や監督について
是非お聴き下さい🎧

視聴リンク
https://podcasters.spotify.com/pod/show/babel-label/episodes/20BABEL-LABEL70-e2luerk

[文字起こし]


はい、始まりましたBABEL Wave。今回は出張会ということでBABEL LABEL広報の金と石村が愛知県の刈谷日劇さんにお邪魔しております。
刈谷日劇さんは愛知県刈谷市にあり、開館して70年もの歴史がある単館劇場で、刈谷市内に存在する唯一の映画館です。藤井道人が監督を務めた映画「青の帰り道」や「デイアンドナイト」 山口健人監督の映画「生きててごめんなさい」などBABEL LABELの監督が制作に携わった作品の再上映や、6月から7月にかけてBABEL LABELWEEKを企画されるなど、BABEL LABELとしても繋がりを感じさせていただいている劇場になります。
今回はそんな刈谷日劇の支配人堀部さんとスタッフの渋谷さんにお時間をいただきました。堀部さん、渋谷さん、よろしくお願いいたします。

堀部 ・渋谷
よろしくお願いします。


はい、早速なんですけれども刈谷日劇さん、今年で70周年を迎えられるということで、70年続いている劇場は他にあるんでしょうか。

堀部
うちはだから昭和29年に開館しました。で、ちょうど 1954年なので、70年っていう形になります今年で。で、刈谷市内はその当時から一応3つ映画館はあったんです。
3つ映画館あったんですけど、平成の中盤位で無くなりまして、どこも。で、 状況としてはどこの映画館も一緒だと思うんですけど、シネコンが出来ていく中で皆さんも廃業していったっていう形になるんですけど、なんとかDCPの投資とかも苦しいながらもやった中で、昔は洋画のロードショーをずっとやっていたんですけれども。そういう中で、ちょっとシネコンに洋画の新作は移行していく中で色々模索をしながら 続けてきて70年経ったっていう、そういうような状況ですね。

石村
凄い長いですよね

堀部
そうです。それで私は今、支配人って形なんですけども、祖父が創業しまして、 映画館が家業であったっていう形で、今家業を継いで3代目として支配人をやっていると。
ちょうど2019年、5年前から支配入っていう形で番組編成含めて関わって今やっている状況です。はい。

石村
「青の帰り道」の話に繋がる、あれでもありますけどね。
はい、ごめんなさい。カットで。今凄い2019年の「青の帰り道」の話したかったけど我慢しないとと思って。


そんな歴史ある刈谷日劇さんの強みってなんだと思いますか、ズバリ

堀部
そうですね。時代の変化に対応してきたことが、今ちゃんとこういった形でいろんな映画好きの方に指示されて残って、ちゃんと営業できてるっていう形だと思ってます。

渋谷
そうですね。ちょっと下世話な話になっちゃうんですけど、まず無料駐車場があるっていうところが本当に強くて。愛知県でミニシアター 行こうと思うと、どうしてもそこにお金が凄いかかっちゃうんですよ。駐車場台、電車代、バス代、それだけで映画1本分位になっちゃうんですけど。
僕は名古屋でこの映画館に通ってる時、もう車でパーっと1時間位はかかるんですけど、無料駐車場があるので、本当にそこは気にせず映画館の料金だけで見れる。
なんで、うちのお客様でやっぱり近隣から、もしくはもう岡崎とか豊田、瀬戸、ちょっと遠いとこになるんだけど、 そういうところから来られる方も車でやっぱり気軽に来れるんですよ。これって本当に強いんですよね。他の映画館の方から本当に羨ましがられるところで、 と、刈谷っていう場所って本当に文化的に凄く充実してて、この刈谷日劇の近くになんと美術館と図書館があるんですよ。僕、 刈谷日劇に映画見に来た帰りに図書館に寄ったり、もしくはこの映画館に行く前に美術館に寄ったりとか、そういう風にこうハシゴして文化施設を渡っていけるので、 これもまためちゃくちゃ強いのと。あと、この映画館、他の映画館に比べて、こう意図的に明確なカラーって打ち出してないんですよ。例えば、うちはB級が強いとか、うちはヨーロッパのものが強い、ドキュメンタリーが強い、そういうところって あるんですけど、客観的に見て、やっぱりそれ以外をやった時に、そのお客様から「何でらしくないことをするんだよ」っていうようなちょっと圧力生まれちゃうんですよ。だけど、うちは意図的にこういうものだよ、うちはこういうカラーだよって打ち出してない。面白いものはなんでもやる、見たいものを極力見せてあげられる環境を作るっていう。こう、裾の広い環境でやっているので、 いろんな映画を無理なく入れてセレクトショップみたいに提供できるっていうのはめちゃくちゃ強みです。なんでもう安心してどんどん面白いものを ガンガン並べられるって、これはもう一映画ファンとしても、この並び本当にもうたまらんぞっていう。1日居れるっていう状況をうちは作ってるんで、 なんでお客様は楽しんで笑顔で帰っていただいてるのかなとは思います。

石村
私、刈谷日劇さんのtwitter、Xとかインスタとかも拝見しているんですけど、インスタは凄いスタイリッシュで、刈谷日劇さんって調べてどんなインスタなんだろうって見てみた時に衝撃を受けたんです。白黒の画像で凄いカッコよくて、なんかスタイリッシュやなと思ってて。Xも結構発信とかも、たくさんされているんですけど、やっぱなんか型を作ってないというか、その時にやっぱ流すべきものを流してるっていう、その企画性みたいなところが凄い楽しいなと思って。やっぱり単館劇場でしか出来ない映画の編成の作り方なんだなと思って。はい、凄い面白いなと思いました。

渋谷
ありがとうございます。Xは自分が命込めてやらせていただいてるんですけど、ホームページっていう軸があるので、ホームページに来ていただければ、作品何が上映されているか、そしてその作品の内容っていうのも知ることができるので、ホームページをきっちり軸に置きつつ、Xに関してはエンターテイメントだと思ってやっているので、その時推すべき、その時注力すべき、その時なんだろう、1番こうホットなもの、面白いものっていうのを、ちょっと意図的に作品に合わせて、その作品のテイストを抽出して、ちょっと面白く、面白おかしくして、写真もつけて、 Xはポストさせていただいてますね。

石村
言葉選びもカッコいいって毎回思っているんですけど、もしリスナーさん聞いていただいてる方、今手元にスマホがあったらぜひXで刈谷日劇さん見ていただきたいんですけど、凄い言葉選びも心に残るというか、印象的な言葉なのでチェックしてください。

渋谷
よろしくお願いします。心にドンと残していく。ありがとうございます。


続いて、単刀直入にお伺いしてしまうんですけれども、刈谷日劇さんが思う映画館っていうのはどういう場所ですか。

堀部
やっぱり世界に繋がる文化の場だと思ってます。映画ってやっぱりいろんな側面でいろんなところを切り取って、いろんなことを知ることができるっていう面では貴重なメディアだと思うんですよ。尚且つ自然とかではかからないようなマニアックなドキュメンタリーだったりとか、そういったところも、こういった地方の人々に見てもらえるっていう面では、本当に世界に繋がる場だと思って。そういう面で映画館ってとっても重要な役割を果たしてるんだなっていうのは 日々思いながら運営してます。

渋谷
自分がですね、元々美術館とか図書館とかで働いてたんです。なんで文化施設っていうのを凄く大事にしていて。ただその文化施設に勤めていると、映画館ってどうしてもエンタメでしょとか、 どうしてもこう娯楽でしょっていう目で凄く見られてました、実際に。ただ自分はこの“やかた”館って付くものは、美術館、博物館、図書館と同様に、映画館って決してそこに劣るものじゃないって思ってます。なので、そうなるために、やはり美術館、博物館、図書館、同様に、文化施設としてのこう役割と責任を自覚的に自分たちは担っていくと。なので、上映してる映画の知識とか文化的背景、ジャンルに対しての造形を深めるだけじゃなく、映画だけ自分たちは知ってれば良いというのではなく、きちんとこう、政治も含めてですけど、きちんとなんか世の中とコミットする場で、それをお客様と一緒に、なんだろう、楽しんで、こう文化施設として認めてもらえるように、なんかこうしていかなくちゃいけないんじゃないかな。今後の映画館は、ミニシアターは比較的そういう意識っていうのはやっぱりあるんですけど、どうしてもこう、シネコンさんってどうしてもこの、なんだろう、エンターテイメントの場所だっていう意識が凄くこうお客様から見られがちなので。なんで、 個人的にはですよ、共通意識として、文化施設の場っていうものを強く持ってなんかこう、映画館はしていかないと、これからの日本の芸術水準の中とかでも、どうしてもちょっと低く見られてしまっているのが、その文化設備が自分からすると現状なので、そういう意識を持って映画館はちょっと育てるじゃないですか。ちょっと向き合っていかないとなとは思っています。

石村
渋谷さんは、何をきっかけに刈谷日劇さんに出会われて入ったっていう…

渋谷
凄い好きな見たかった映画があって、それがどこもやってなかったんですよ。で、それをバーって検索したら、さっきもちょっとお伝えさせていただいたんですけど、映画.comで検索してたら、刈谷日劇って出て、「えー、何これ。こんな映画館あったんだ」って言って来たら、この建物じゃないですか。で「ミニシアターだ、ザミニシアターが刈谷にあった」みたいな衝撃が本当に最初あって、はい。で、ビクビクしながら5階に行ったら、映画館なのか。映画を見たら、もうこんな本当にもう、これ聞いてる方々に本当伝えたいです。はい、こんなに映画体験できるところは他に無いです。無いですと言っちゃあれですね、個人的にですよ、 映画を鑑賞って言葉を使うんですけど、僕は体験だと思ってて。映画を見に行くわくわく感、刈谷に向かうわくわく感、そして階段上っていく、エレベーターを上がってく。そしてカウンターでドキドキしながらチケットを買って、映画館を見る。映画を見る。ミニシアターのこの小さい、このいかにも劇場っていう環境で見る。で、見終わった後が本当にまた素晴らしくて。おすすめなのは夜です。映画を見終わったあと、外が真っ暗なんですよ。刈谷の町並みが。これ、映画に世界に没入することができる条件で、どことは言えないですけど、やっぱりシネコンとかだと映画を見終わったあとどうしてもゲームセンターの音とか飲食店の音とかがやっぱりこうしてて、どうしてもこの映画の世界から急に現実に戻されちゃうっていうのが凄くあって、なんか個人的には寂しいなって思うのがあったんですけど、ここは見終わった後家に帰るまでが 映画なので、車に乗って真っ暗な刈谷の道を自宅に向けて走ってるその時も映画の邪魔されないんですよ。だからこれ以上刈谷市駅周りが栄えないでほしいなって思いもある。

石村
私も今日は刈谷日劇さんで初めて映画を拝見させていただき、涙しました。

渋谷
ありがとうございます。そうなんです。映画プラスなんとも言えない、本当にミニシアターで見たっていう多交換とかが本当にある映画館なんで、僕は働きつつもやはりここの大ファンなので、もっとここで映画体験を皆さんにしていただきたいですね。

石村
なんかエレベーターを上がってきて、エレベーターが開いた先ってどうなってるんだろうっていうワクワク感、今日凄くあって。それで凄い入る時緊張して、出た瞬間に
支配人の堀部さんが居たらどうしようって。いらっしゃったら…なんか凄い緊張しながら上がってきて。そしたら、エレベーターの中にもポスターとかも色々貼ってたので、写真も撮って。エレベーター 開いた先にもポスターが。番組編成のラインナップもあったんで、そこで写真撮らせていただいて。で刈谷日劇さん入らせていただいて、そしたら堀部さんが目の前。なんて言うんですかね、チケットを確認いるところで、あ、堀部さんだっていう風な。ずっとzoomでしかお会いしたことがなかったので。

堀部
実は上から下が見えるんですけど、石井さんがいるの見えてたんですよ。
ああ、居るなっていうのがもう見えて。あ、そろそろって準備。こちらも準備して、 それはもう迎える側としてはもうね、大体通るとこ見える。駅から。駅から来る道が丸見えなので。

石村
そうだったんですね。

堀部
そうですね。駅から来るところでね、映画館のところまで丸っと見えるんで。

石村
すぐ近いですもんね。歩いて1分ぐらいの距離。

渋谷
通称刈谷のレッドカーペットって言われる道

石村
皆さんぜひ歩いてみてください。はい。

渋谷
刈谷のレッドカーペットをぜひランウェイしてください。


今エレベーターでほんとにBABEL LABELWEEKみたいなことを考えてくださってて、本当にありがとうございます。今日も「朽ちないサクラ」で原の登壇、本当にありがとうございます。 この「朽ちないサクラ」のロケ地が刈谷日劇さんの近くという風にお伺いしたんですけれども、具体的にこの辺り?

堀部
そうですね。ワンシーンだけだったんですけども、どうしてもなんかマンションの入口のロケが必要だっていうことで、 制作部の方から連絡を受けまして。 でもここで撮りたいっていうところで、もう場所選んでたみたいで。それがたまたまうちの近所だったんですけど、そこで車を置く場所とか、そこらへんは控え室、メイク室とか、そこら辺のことを準備 するのをちょっと一緒に手伝ってあげたっていう、そういう流れがあったんですよ。料亭1回目の最初の料亭を出てタクシーを降りるシーン。

石村
はいはい

堀部
あそこだったんですけど。でもなぜかタクシーの斜め迎えに1台車止まってるじゃないですか。あそこでちゃんと伏線のシーンじゃないですかあそこって。なんでタクシー降りると僕は台本とか読んでないんで、タクシー降りるシーンなのに、なんであそこにカメラが映る範囲に1台車置いてあるんだろうって当時は気になってました。はい、 実は伏線。でも、なんかあるんだろうなって。あそこには誰がいるんだろうってかなり聞いてました。はい。ええ、そういう思いで。ちょうど1年前でしたね。ちょうど1年前で、そん時にプロデューサーの方に原監督紹介してもらって。で、 ちょうど藤井監督が舞台挨拶をやるちょっと前だったんですよね。うちで。で、今度うちの藤井がお世話になりますって言って。撮影中なのにこんな気使ってもらって申し訳ないなと思いながら。なんで今日、それ以来お会いするのは。


刈谷日劇さんは、あの藤井が監督した「青の帰り道」を2019年に再上映していただいて、全国に映画が広まるきっかけにもなったと思うんですけれども「青の帰り道」を再上映された経緯を教えていただけますか。

堀部
先ほどもちょっと話したんですけども、2019年に私が本格的に劇場の運営をやることになりまして、当時は番組編成含めて全部父親から引き継いで、まだ半年も経っていないタイミングでした。 で、本当に配給会社さんの連絡先とかも手探りで探っているような恥ずかしながらそういう状況の中で「青の帰り道」のポスター見て、NexToneさんはどこだろう、ティ・ジョイさんはどこだろうみたいな感じでアプローチをしてい たことは鮮明に覚えてます。で、特に意識せず、このちょうど2019年 の3月の終わりだったんですけどね、上映したのが。ちょうど2018年の「青の帰り道」2018年の12月の公開の作品だったと思うんですけれども、地方都市で1館2館ぐらいしかもう上映がやってない状況で、多分うちで上映するのは最後だろうなって思いで「青の帰り道」を上映したことを覚えてます。で、4月1週目、2週目になって1周目よりも2週目の方がお客さん増えた。2周目よりも3週目のお客さん増えた。あれ、なんでだろう。って不思議にちょっと考えてたりして。で、ゴールデンウィークもこのままの流れでやったらもっとお客さん来るよねていうことで、あの当時だったら、あのドラマ、1、3月期のドラマで横浜流星さんの作品が相当注目されていたタイミングだったんで、それで、ゴールデンウィークになったら、みんなこういう映画あるんだっていうことで、結構、連休中は遠くからお客さん来ていただいて、で、私にとっても、自分で番組編成して半年も経たない中で最初にこれヒットしたっていう、僕にとっても私にとっても最初のヒット作品だったんで、とてももう忘れられない作品になりました。その後に東京のアップルリンクさんで再上映したことがあって、2019年の夏、秋ですかね、初めてうちと、刈谷日劇と新潟のシネ・ウインドさんで。2019年に藤井道人特集っていうのを最初にやった劇場がうちとシネ・ウインドさん。そういう流れになります。2019年は。

石村
この半年「青の帰り道」の半年間みたいな。

堀部
そうですね。だから「青の帰り道」があって、それで「デイアンドナイト」も一緒に、その後、再上映で特集でやって、こういう作品、中々こういう監督とこういう作品と巡り合えたこと、とてもなんか凄くありがたかったし、日本で最初に藤井道人さんの特集をやれたっていうのも大変思い出になりました。

石村
その後にも2021年でしたっけ、特集をやって頂いて

堀部
そう、2023年にもコロナ開けたタイミングで藤井道人特集を再度やらしてもらって「余命10年」とか含めて。そん時にはもうヒットメーカーとしての藤井道人特集になってたんで、そういう面ではね、あれきっかけてはありましたけど、本当にいい監督と巡り合えたことは劇場にとっては大変嬉しかったって記憶です。

石村
BABEL LABELとしても凄い「青の帰り道」を定期的に上映していただいている刈谷日劇さん、もう本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、私自身も「青の帰り道」はとっても思い出というか、大切な作品で、上京のきっかけになっている作品になるので、再上映していただいたから、私が今東京に居るのかなって言っても過言ではないかもしれないとも思っているんで、本当にありがとうございます。

堀部
こちらこそありがとうございます。なんで、そういうご縁もありまして「青の帰り道」のプロデューサーの伊藤主税さん、and picturesの伊藤さんなんかも、いまだにうちのことを聖地って呼んでいただいていまして。 先月の別の作品に来てもらったりとか、年に数回定期的に来て、いろんな作品で関わることができて、そういった面でもやっぱ全ては「青の帰り道」に行きつくっていうのが僕の中でも現体験であるんですよね。


ありがとうございます。「青の帰り道」もそうだと思うんですけれども、ちょっと私たちからお伺いしてしまうのも恐縮なんですが、BABEL LABELで好きな作品だったり注目している監督はいらっしゃったりしますか。

堀部
僕は、だから最初に特集した時に「デイアンドナイト」を見た時に、やっぱりあの重い雰囲気が大変好きで、あぁいう通底した暗い、ドーンと来るものが大変好きで。で、そん時に山田孝之さんがプロデューサーだったっていうことも初めて知って、こういうこともやられる方なんだなっていうのを知ったきっかけでもあって。その後に山田孝之さんがプロデュース、監督やられたあの「ゾッキ」も2021年の上映でしたかね。そこでもそういうことに繋がったっていう意味で、やっぱ藤井監督作品をきっかけに本当にいろんな面で広がっていったっていうことで、好きなのは私「デイアンドナイト」でしたね。

石村
渋谷さんはアペラのことを…

渋谷
推してる監督も注目してる監督、今のご質問だった注目してる監督はもちろんアベラさんです。作品はめちゃくちゃあるんですけど、いいですか。まず、藤井監督の「ヤクザと家族」と、これセットになるんですけど。MILLENNIUM PARADEさんの「FAMILIA」ってMV、あれは「ヤクザと家族」とミレパノの曲って繋がってるじゃないですか。その後の世界で。で、これなんでこの作品がここまで好きかっていうと、この作品が公開される前をほんとに藤井監督と綾野剛さんと常田大希さんが3人でクリエイティブを語り合うっていうのを雑誌とか、このメディアとかでめちゃくちゃ目にしてて、この3人って自分の中でその芸術とかクリエイトに対して妥協しない。ただ、その中で、常田さんってまだKing Gnuとして出始めの頃で、けど彼ももうその時点ではもうなんだろう。確立したのを持っている。この3人がめちゃくちゃ高い意識を持って1つの作品に向かってるって、ちょっとやっぱ自分もまずい。本を見てるだけでもこう、文章追ってるだけでも凄い。ちょっとこう、あ、落ちた。これダメだ。で、作品の熱量。 自分にとってはもうなんだろう。自分が仕事をしている、なんか仕事のスタンスっていうところに考えても、凄く大事な作品だったり、考えさせられる、なんか経緯のあった作品だったりします。あとはドラマがめちゃくちゃあって、もう、アベラさんで言うと「日本ボロ宿紀行」大好きで「量産型リコ」「旅するサンドイッチ」で、今日来ていただいてる原監督はめっちゃこれ大好きなんですよ「八月は夜のバッティングセンターで。」そう、めっちゃ大好きで、これも中村トオルさん最高。 エンディングまでも含めてもう最高で。で、これもしかしたらもう殿堂入りかもしれないですけど「耳に合いましたら。」大好きで。この当時、なんかよく違う職場だったんですけど、みんなでお耳ポーズしてました。大好きすぎて、それこそPodcastの話大好きです。

石村
私もその現場にずっと居て。

渋谷
そうなんですね、めっちゃ大好きです。なんで、ほんとにエンディングが毎回違うとことかも可愛いし。

石村
そうですよね。毎回エンディングが違って。現場もまだAP始めて間もない頃だったんですけど、凄い色々大変なこともありましたけど、でもやっぱりなんか現場の雰囲気が凄い良くて、楽しくて。ストーリーがやっぱり温かいストーリーじゃないですか。だからそれだけ現場もあったかいような感じになってて。

渋谷
うわ、ファンとしてはたまんないです。BABELの子を描く伊藤万理華さんっていうのも本当に凄い好きで、それこそサンドイッチもそうですけど、この組み合わせならとか思わせてくれるのがやっぱBABELさんの凄いとこですよね。

石村
「サンドイッチ」と「量産型リコ」は畑中もしてて、アベラ畑中ペアが

渋谷
たまんないですね。

石村
結構なんか組み合わせ、なんかアベラ畑中は組み合わせっていうものが私の中でもあるので、凄い面白い作品です。

渋谷
深夜ドラマも本当にBABELさんのお世話になりっぱなしなんで。常にチェックさせていただきます。

石村
ありがとうございます。


たくさんの大好きありがとうございます。

渋谷
大好きです。


今後、刈谷日劇さんのなんか展望だったり、こういうことやっていきたいみたいなことってあったりしますか。

堀部
業界的にはね、いわゆる刈谷って東名阪ではないローカルな位置付けではあるとは思うんですけども、そこを強みにですね、やっぱり三河地区唯一のミニシアターとして さらに認知を広げていきたいし、今回の「朽ちないサクラ」みたいに、東京で映画を作ってる人たちにとっても結構蒲郡とか豊橋とか近いので、便利な撮影場所としても 東京の制作陣の方々にも劇場としてもらって、 こういう風に撮影とかにも色々協力してくれる劇場があるんだよみたいなことで認知を広げていっていければなみたいなこと考えてて。やっぱ撮休日とかにスタッフの方が 映画見に来たよみたいな、来てくれたりとか時々あるんですよ。そういうこともなんかしてもらいたいなっていうような、 やっぱそこでさっき言ったような独特の映画体験っていうのをしてもらいたいなっていう風にちょっと思ってます。

渋谷
じゃ、ちょっと僕好きな言葉があるんで、ちょっと喋らせてもらいます。中村勘三郎さんの「型があるから型破り、型がなければ単なる形無し」っていう言葉があるんですけど、刈谷日劇もお客様のニーズとか、もちろんかけるべき映画、今の時代かけるべき映画、お客様のニーズっていう本当基本的なところしっかり抑えつつ、本当に必要最低限しっかりちゃんと抑えつつ、なんかこう型破りで大胆な発想を打ち出すような場所で、それはもしかしたら実験的な雰囲気に見えるかもしれない、なんかこう、行き過ぎた、もしかしたら仕掛けかもしれないですけど、やっぱそういう大胆な、他では見れないところを打ち出していきたいです。それはもう、なんだろう、映画館としてユニークっていう枠ではなく、世の中全体のクリエーションとかの中でもこんなことはなかった、映画館っていう枠じゃなく、こんなものは見たことがない、こんなのは初めてだ、世の中で見ても。っていうようなことをやっぱりしていきたいなと思います。

石村
凄い。これからも刈谷日劇さんどのような企画をされていくのか凄い楽しみなんで、Xで追うようにします。

渋谷
はい、ごめんなさい。ちょっとこう匂わせたりします。小出しするよって。


はい。もっともっとお話聞きたいところなんですけれども、そろそろ終わりのお時間が近づいてまいりました。堀部さん、渋谷さん、本日は本当に熱いいろんなお話聞かせていただき、ありがとうございます。

堀部 ・渋谷
ありがとうございました。