CONTENTS

BACK TO LIST
2023.10.23

#9《山田真歩さん×曽根隼人》【前編】日常から非日常の世界への急なジャンプ、FODホラードラマ「憑きそい」の撮影裏に迫る

#9《山田真歩さん×曽根隼人》【前編】日常から非日常の世界への急なジャンプ、FODホラードラマ「憑きそい」の撮影裏に迫る

BABEL Wave#9

視聴リンク
https://open.spotify.com/episode/64IyfGSYbtqNGUXMsajbXS

[文字起こし]

曽根
はい、というわけで始まりました。えー、BABEL Waveということでですね、えー、BABEL Waveはですね、コンテンツスタジオBABEL LABELのクリエイターが 今の時代の波をご紹介する番組です。へい。ちょうど今旬になってる作品に触れていきたいと思っております。今回のゲストはですね、俳優の山田真歩さんにお越しいただきました。そして私、監督の曽根隼人とですね、2人でお送りしたいと思います。山田さん、よろしくお願いします。

山田
お願いします。おはようございますなのか、こんにちはなのか、こんばんはなのか。

曽根
これね、いつ聞いてるかわからないですからね、難しいですが、はい。
じゃあ、山田真歩さんはですね、現在FODにて配信中のホラードラマ「憑きそい」の主演を務められており。 私、曽根隼人もですね、全9話のうちですね、1話、2話、5、8、9話のですね、監督としてご一緒させていただきました。はい。本日は、その恐怖のホラードラマ付き添いの制作裏話を交えてですね、はい、お話していければと思っております。で、ですね、このドラマ「憑きそい」はですね、 原作者の山森めぐみさんがですね、実体験を基にInstagramに漫画を投稿するやいなや、えー。インスタ最恐。と話題になった原作に着想を得て、 えー、全9話で展開されているホラードラマでございます。というわけで、山田さん。お久しぶりです。

山田
お久しぶりです。

曽根
お久しぶりでもないですね。この前、ちょっと舞台を拝見させていただきまして。 ドラマ「憑きそい」を演じられてどうでしたか。すいません、台本通り。ちょっと僕、あんまり融通利かなくて。すいません。台本通り聞いちゃって。

山田
演じて。でもホラー自体が初めてだったので。はいはい。ちょっとあの、怖いもの見たさっていうか。はい。どうなるんだろうっていう感じで 引き受けてしまったんですけど、はい、

曽根
どうでしたか。

山田
いや、でも、あの、最初の、えっと、衣装合わせの前の打ち合わせで。曽根監督から、ホラードラマ作りたいんだけども。怖がってるふりじゃなくて、ドキュメンタリーみたいに、ほんとに、怖がってほしいっていう話をいただいたんで、その、なんていうか、まあ、日常生活の実続きのような感じで 芝居をして、だけど、いきなりふっと境界線が違うところ行っちゃって、お化けに会っちゃうみたいな。はいはい、その感じって今までなかったんで、恐怖っていう。

曽根
あー、なるほど。

山田
すごい。あの、かなり自分の中で新しい扉っていう感じでした。

曽根
ほんとですか。はい。

曽根
なんか慣れてるぐらいな感じに見えましたけども、

山田
何がですか。おばけに慣れてる?

曽根
その、いやいや、怖いを、恐ろしいを演じるっていう。

山田
初めてでした。ホラー自体初めてですし、でも、あの、原作読んで なんでかわかんないですけど、あ、この山森めぐみさん、本当に見たことをただ忠実に書いてんだなってのが伝わってきたじゃないですか。それが面白いっていうのが私は思ったんで、 曽根さんと最初にお会いした時に、それをドラマでどう表現するかって話になったんですよね。

曽根
そうですね。うん、そうなんですよ。僕も、あの、読んで、やっぱスマホで見るじゃないですか。こういうインスタとかで投稿されてる方なんで、 スマホで夜中、布団の中で見ると、めちゃくちゃ、ほんと自分が体験してるみたいな感覚を用いるっていうか、 めちゃくちゃ身近な話に感じるっていうか、っていうのを思って、でもそれって、なんか、漫画のタッチみたいなこともあって、

山田
ちょっと、なんか、落書きみたいな。ゆるーい感じの。

曽根
そうなんですよ、柔らかい絵の雰囲気で。

山田
書き込んでないっていうか。

曽根
そうなんですよ、なんか、だから、絵は怖がらせようとしてないのが、

山田
そこが逆に怖い。

曽根
そうなんですよね。なんか身近に感じて、なんかこう、油断しちゃうっていうか、ガードをこう、下げたところにボディブルを打ち込まれるだけ。

山田
お化けのところはめちゃくちゃ書き込んでるじゃないですか。だからほんと、見たことを忠実に伝えたいからこその書き込みだと思って、怖がらせようとして書いてる人じゃないってのが伝わってきたんで。

曽根
そうなんですよね。

山田
そこが、多分ドラマでもし演じるとしたら、怖がらせようとしてるんじゃなくて、 こっちが、作る側としては本当になんか見えちゃったんですよ。仕方ないんですよみたいな、あのテンションというか、原作に近いテンションを、 なんか、曽根さんと探っていけたらいいですね、みたいな感じでスタートした気がするんですよね。

曽根
僕もだから、最初、キャスティングをさせていただくときに、お芝居って、こう、 2種類あるっていうか、例えば、悲しいだったら、悲しいを説明するためのお芝居もあれば、この人、悲しんでんのかな。どうかな。みたいな、あ、でも、心の奥底で悲しんでるんだなみたいな、この、わかりにくいけど、実際に悲しみを感じるお芝居みたいな、2種類あると思ってて。 で、それが、その、前者の方は、分かりやすいんだけど、リアルにいる人とはちょっと遠いっていうか。 で、後者の方は、そこの人、悲しいのか悲しいのかよくわからないなぐらいの方が、リアルにいる人には近いと思うんですよね。なんか、この後者の方を目指してやっていけばいいんじゃないかなと思って。

山田
でも、そのテーマっていうか、日常と非日常がジャンプ率が激しい作品だと思ったんで、 私もそう、すごいこと要求されてるかもって思って。 日常の平常心で、今みたいに喋ってるじゃないですか。それで、ぱっと見たらあそこにすごいお化けが立ってたみたいなことじゃないですか。そん時のぎょっていう感じの、ジャンプする感じが、その、普通の世界と異界を。

曽根
そうですよね。

山田
それが普通だけだったら、今までもやってきたかもしれませんけど、異界に行かなきゃいけないっていうのが、今回はすごい初めてでした。

曽根
いや、1番なんか難しい欲求っすよね。その、だって日常を演じてるのに、はい。そっから非日常に一気に行かなきゃいけない。 だから僕はすごいあの、見ていて楽しかったです。

山田
あのがすごい撮影中ですか。

曽根
すごい行くな、みたいな。そうなんですよ。だから、山田さんがどうやってお芝居とか勉強されてるんだろうっていうのは、僕すごい気になって、 拝見しておりました、モニターを。

山田
なんか、観察者の目線ですよね、こういう動物いるんだみたいな。
曽根さんの演出って、すごい客観性が、ま、もちろん演出家なんで、あるんですけど、乾いてるって言ったじゃないですか。

曽根
乾いてますか、

山田
理系ですよねって。

曽根
そうなんですよ、最終日に山田さんに「監督って理系ですよね」って言われたのが、ずっとこう、心に残ってるっていうか、 そう、あれはどういう意味でおっしゃられてたのかなっていうのをすごい考えてました。

山田
なんか、あの、ベタベタしてないっていうか、なんていうんですかね、

曽根
ねちっこくないってことですか。ねち

山田
ねちこいっていうか、情に流されなさそうということですけど、

曽根
ほんとですか。感情で生きてるつもりなんですけど、

山田
そうでしたか。失礼しました。

曽根
でも、なんか人間観察好きなんですよ。なんか、あの、カフェとか、ファーストフードみたいなとこ行っても、 窓側の席で、ずっと見てるみたいな。ちょ、変態ですね。

山田
でも、確かに、その距離を感じました。

曽根
あ、ほんとですか。

山田
はい。一緒になって、こう、辛いよねとかいう感じじゃなくて、なんか一定の距離が、あ、そう来ましたかみたいな感じ。じゃ、今度こうどうですか?みたいな。

曽根
あ、そっか。いや、なんか今気づきました。監督ってそういう感じの、横にこう、寄り添うみたいな、

山田
いろんなタイプがいていいと思うんですけど、曽根さんは距離を感じました。

曽根
そう、なんかね、不器用なんですよ。 でも喋ってる時は全然、なんか、僕は結構皆さんと楽しく、すぐ仲良くなれちゃうんで、どんな人でもなんですけど、 なんですかね、なんかお芝居を見てる時はなんか、あの、そうなんですよ。監督として役者さんと寄り添わなきゃとか思うんすけど。

山田
思うんですか。

曽根
思います。思うけど、あの不器用なんで、なかなかできなくて。そうなんですよ。僕の悩みその1ですよね。

山田
悩まなくてもいいんじゃない。いや、それで怒っちゃう人とかいるんですか。もっと寄り添ってくれよみたいな。

曽根
いやいや、そういうことは。今すごい俳優さんも、なんか皆さんめちゃくちゃ 僕たちに優しくしてくださるんで、そういうことはないですけど。でも、僕なんか他の監督の現場に行くこと結構多くて。あ、そうなんで。そうすると、やっぱり なんかこう、そういう監督が多いし、

山田
こういう気持ちでやってたのわかるよ、みたいなことですか。

曽根
そう。だから、ああいうの

山田
曽根さん向いてないんだからやめた方がいいですよ。

曽根
やばいやばい。だからね、

山田
いろんなタイプがいて、すごい。私はなんか風通しのいい演出だなって。その、具体的に色々言われて、感情のことっていうよりは、 もうちょっとここ、間をあげてみてくださいとか。はいはい、あの、誰にでもわかりやすいような、でも、その間を開けたことによって 違う何かが生まれたりとかするじゃないですか。

曽根
でもそれは、うん、真歩さんだからっていうのもあるかもしんないっす。

山田
いや、他の人にもそうしてましたよ。ほんとです

曽根
ほんとですか。おかしいな、他の人とは。いや、なんかもう、真歩さんのお芝居はもう、なんかもう、曽根が色々言うべきじゃないみたいな。

山田
いや、色々言われましたよ。

曽根
あの、なんか言ってたのは、だから、なんかこう、その、なんでしょう、 実験してる感覚っていうか。実験してるって言うとめちゃくちゃ失礼ですね。

山田
いや、いいです。

曽根
なんというか、こう、ま、じゃ、テイク1で最初「よういハイ」で撮らせていただいて、最初から いいなって思うんですけど、なんかもっと見たいっていうか、じゃ、こういうのお願いしてみたら。何が出てくるんだろう。みたいな 感じでさせていただいてました。本番中には言えないですけど。

山田
でも、それわかって。

曽根
あ、バレてたんすね。

山田
あの、でも楽しくて、それが逆に。いろんなバージョンが試せるのが。で、なんかその、結構和気藹々と作ってた。ホラードラマなんですけど、結構笑いがみんな絶えなかったじゃないですか。 1回なんか覚えてるのが、休憩時間のご飯の時間に、最後の方かな、9話かなんかで、私が蛇に取りつかれたような感じになって、生卵を食べるって台本に書いてあった時、どう生卵を食べるんだろうってずっと思ってて。 スタッフの人とか女監督が大喜利大会みたいになってたじゃないですか。

曽根
みんなで、生卵をどう食べるかっていう実験をするっていうやりましたね。

山田
それも実験じゃないですか。で、いろんな食べ方があるじゃないですか。なんかいろいろなシーンで、そういう風にみんなで楽しかったなっていう印象があって。

曽根
そうですね。いや、なんかだからよくホラー撮ったっていうと、現場めっちゃ怖いんじゃないですかとかって言われるんすけど、 めちゃくちゃ楽しかったですよね。、

山田
多分。緊張感があるから、なんか笑うじゃないですか。緊張感をほぐそうとして、それもあるのかなっていう。

曽根
あー、それはあるかもしれないです。あの、また別の回ですけど、その、ほんとの心霊スポットみたいなの行ったんですよ。トンネル。

山田
トンネルね。

曽根
そこはマジで結構怖い場所だったんすよ。そん時が、みんなのトーク力が半端なかったっす。

山田
ずっと喋ってるみたいな。

曽根
そうなんですよ。あれは多分、怖いのをごまかすためなのかわかんないですけど、ほんと、本番中以外は、なんかずっと笑い声するみたいな。そうなんですよ。だから、皆さんも、こう、盛り上げていただいて、なんか結構ね、現場はとてもいい雰囲気だったかなっていう気はしつつ。

山田
怖かったんですけど。でも、「用意、スタート」っていうまではずっと和気藹々としてた感じ。

曽根
そうですね。でも、ちょっと気になってたのは、それって、僕たち的には、なんかすごいリラックスしてやれるって感じなんですけど、 その怖いお芝居をする直前に、それで良かったのかなっていうのは正直思いましたけど、

山田
それは、どうだったんだろう。いや、それはそれで切り替えてやってたと思いますけど。

曽根
さすが。そこはプロですね。1回だけだから。みんなシー、シーって、

山田
そんな時ありましたっけ。

曽根
僕、密かにやってたんです。

山田
あ、ほんとですか。集中してそうだから、みたいな。

曽根
そうなんですよ。怖がるっていう真歩さんがまさに ちっちゃい子供の霊が襲いかかるみたいな。

山田
あー、結構初期の方ですよね。

曽根
そうです。リアクションを取らせていただくっていうのがあって、そこはちょっと、キャッキャキャッキャしすぎたら、これ やりづらいんじゃないかなとかって思って。いや、ちょっと静かにしようみたいな。

山田
でも、あの時、初めてのお化けと、そのぎゃーってなるし シーンで初めてで、でどの程度ぎゃーってなるのか、みたいな結構何度も撮ったじゃないですか。 で、なんか監督に言われたのは、崖に立ってるような感じでって。何もないところで、お化けも全然怖くない。あ、カメラしかないじゃないですか。カメラがわーって私のところに寄ってくるので、想像力しかな頼りになんない時に、 なんか崖っぷちに立ってるかのようにとか、色々。カメラが口の中に入ってくるかのようにとか、なんかそういう演出をしてくれたのが印象的で。
覚えてます。

曽根
ちょっとあれですね、自分でどう演出してたのか聞くとちょっと照れちゃいますね。
そう、だから、なんかほんとにこう、いろんな言葉を、ちょっといろんな注文させていただくと、 あ、そのタイプもあるんですね、みたいな。巻いていくごと、だから、こう勝手にニヤニヤしてました。モニター前で。

山田
そうだったんですか。そっか。

曽根
そうなんですよ、はい。という感じで、そういう感じでいいんでしょうか。
はい、じゃあそろそろですね、終わりの時間がやってまいりましたので、次回もですね、引き続き、山田真歩さんとですね、 私、曽根隼人でですね、ドラマ「憑きそい」の制作秘話というところでですね、お届けしていきたいと思いますので、次回もお楽しみください。

山田
お楽しみください。

曽根
ありがとうございました。

山田
ありがとうございました。

BABEL Wave#9

視聴リンク
https://open.spotify.com/episode/64IyfGSYbtqNGUXMsajbXS

[文字起こし]

曽根
はい、というわけで始まりました。えー、BABEL Waveということでですね、えー、BABEL Waveはですね、コンテンツスタジオBABEL LABELのクリエイターが 今の時代の波をご紹介する番組です。へい。ちょうど今旬になってる作品に触れていきたいと思っております。今回のゲストはですね、俳優の山田真歩さんにお越しいただきました。そして私、監督の曽根隼人とですね、2人でお送りしたいと思います。山田さん、よろしくお願いします。

山田
お願いします。おはようございますなのか、こんにちはなのか、こんばんはなのか。

曽根
これね、いつ聞いてるかわからないですからね、難しいですが、はい。
じゃあ、山田真歩さんはですね、現在FODにて配信中のホラードラマ「憑きそい」の主演を務められており。 私、曽根隼人もですね、全9話のうちですね、1話、2話、5、8、9話のですね、監督としてご一緒させていただきました。はい。本日は、その恐怖のホラードラマ付き添いの制作裏話を交えてですね、はい、お話していければと思っております。で、ですね、このドラマ「憑きそい」はですね、 原作者の山森めぐみさんがですね、実体験を基にInstagramに漫画を投稿するやいなや、えー。インスタ最恐。と話題になった原作に着想を得て、 えー、全9話で展開されているホラードラマでございます。というわけで、山田さん。お久しぶりです。

山田
お久しぶりです。

曽根
お久しぶりでもないですね。この前、ちょっと舞台を拝見させていただきまして。 ドラマ「憑きそい」を演じられてどうでしたか。すいません、台本通り。ちょっと僕、あんまり融通利かなくて。すいません。台本通り聞いちゃって。

山田
演じて。でもホラー自体が初めてだったので。はいはい。ちょっとあの、怖いもの見たさっていうか。はい。どうなるんだろうっていう感じで 引き受けてしまったんですけど、はい、

曽根
どうでしたか。

山田
いや、でも、あの、最初の、えっと、衣装合わせの前の打ち合わせで。曽根監督から、ホラードラマ作りたいんだけども。怖がってるふりじゃなくて、ドキュメンタリーみたいに、ほんとに、怖がってほしいっていう話をいただいたんで、その、なんていうか、まあ、日常生活の実続きのような感じで 芝居をして、だけど、いきなりふっと境界線が違うところ行っちゃって、お化けに会っちゃうみたいな。はいはい、その感じって今までなかったんで、恐怖っていう。

曽根
あー、なるほど。

山田
すごい。あの、かなり自分の中で新しい扉っていう感じでした。

曽根
ほんとですか。はい。

曽根
なんか慣れてるぐらいな感じに見えましたけども、

山田
何がですか。おばけに慣れてる?

曽根
その、いやいや、怖いを、恐ろしいを演じるっていう。

山田
初めてでした。ホラー自体初めてですし、でも、あの、原作読んで なんでかわかんないですけど、あ、この山森めぐみさん、本当に見たことをただ忠実に書いてんだなってのが伝わってきたじゃないですか。それが面白いっていうのが私は思ったんで、 曽根さんと最初にお会いした時に、それをドラマでどう表現するかって話になったんですよね。

曽根
そうですね。うん、そうなんですよ。僕も、あの、読んで、やっぱスマホで見るじゃないですか。こういうインスタとかで投稿されてる方なんで、 スマホで夜中、布団の中で見ると、めちゃくちゃ、ほんと自分が体験してるみたいな感覚を用いるっていうか、 めちゃくちゃ身近な話に感じるっていうか、っていうのを思って、でもそれって、なんか、漫画のタッチみたいなこともあって、

山田
ちょっと、なんか、落書きみたいな。ゆるーい感じの。

曽根
そうなんですよ、柔らかい絵の雰囲気で。

山田
書き込んでないっていうか。

曽根
そうなんですよ、なんか、だから、絵は怖がらせようとしてないのが、

山田
そこが逆に怖い。

曽根
そうなんですよね。なんか身近に感じて、なんかこう、油断しちゃうっていうか、ガードをこう、下げたところにボディブルを打ち込まれるだけ。

山田
お化けのところはめちゃくちゃ書き込んでるじゃないですか。だからほんと、見たことを忠実に伝えたいからこその書き込みだと思って、怖がらせようとして書いてる人じゃないってのが伝わってきたんで。

曽根
そうなんですよね。

山田
そこが、多分ドラマでもし演じるとしたら、怖がらせようとしてるんじゃなくて、 こっちが、作る側としては本当になんか見えちゃったんですよ。仕方ないんですよみたいな、あのテンションというか、原作に近いテンションを、 なんか、曽根さんと探っていけたらいいですね、みたいな感じでスタートした気がするんですよね。

曽根
僕もだから、最初、キャスティングをさせていただくときに、お芝居って、こう、 2種類あるっていうか、例えば、悲しいだったら、悲しいを説明するためのお芝居もあれば、この人、悲しんでんのかな。どうかな。みたいな、あ、でも、心の奥底で悲しんでるんだなみたいな、この、わかりにくいけど、実際に悲しみを感じるお芝居みたいな、2種類あると思ってて。 で、それが、その、前者の方は、分かりやすいんだけど、リアルにいる人とはちょっと遠いっていうか。 で、後者の方は、そこの人、悲しいのか悲しいのかよくわからないなぐらいの方が、リアルにいる人には近いと思うんですよね。なんか、この後者の方を目指してやっていけばいいんじゃないかなと思って。

山田
でも、そのテーマっていうか、日常と非日常がジャンプ率が激しい作品だと思ったんで、 私もそう、すごいこと要求されてるかもって思って。 日常の平常心で、今みたいに喋ってるじゃないですか。それで、ぱっと見たらあそこにすごいお化けが立ってたみたいなことじゃないですか。そん時のぎょっていう感じの、ジャンプする感じが、その、普通の世界と異界を。

曽根
そうですよね。

山田
それが普通だけだったら、今までもやってきたかもしれませんけど、異界に行かなきゃいけないっていうのが、今回はすごい初めてでした。

曽根
いや、1番なんか難しい欲求っすよね。その、だって日常を演じてるのに、はい。そっから非日常に一気に行かなきゃいけない。 だから僕はすごいあの、見ていて楽しかったです。

山田
あのがすごい撮影中ですか。

曽根
すごい行くな、みたいな。そうなんですよ。だから、山田さんがどうやってお芝居とか勉強されてるんだろうっていうのは、僕すごい気になって、 拝見しておりました、モニターを。

山田
なんか、観察者の目線ですよね、こういう動物いるんだみたいな。
曽根さんの演出って、すごい客観性が、ま、もちろん演出家なんで、あるんですけど、乾いてるって言ったじゃないですか。

曽根
乾いてますか、

山田
理系ですよねって。

曽根
そうなんですよ、最終日に山田さんに「監督って理系ですよね」って言われたのが、ずっとこう、心に残ってるっていうか、 そう、あれはどういう意味でおっしゃられてたのかなっていうのをすごい考えてました。

山田
なんか、あの、ベタベタしてないっていうか、なんていうんですかね、

曽根
ねちっこくないってことですか。ねち

山田
ねちこいっていうか、情に流されなさそうということですけど、

曽根
ほんとですか。感情で生きてるつもりなんですけど、

山田
そうでしたか。失礼しました。

曽根
でも、なんか人間観察好きなんですよ。なんか、あの、カフェとか、ファーストフードみたいなとこ行っても、 窓側の席で、ずっと見てるみたいな。ちょ、変態ですね。

山田
でも、確かに、その距離を感じました。

曽根
あ、ほんとですか。

山田
はい。一緒になって、こう、辛いよねとかいう感じじゃなくて、なんか一定の距離が、あ、そう来ましたかみたいな感じ。じゃ、今度こうどうですか?みたいな。

曽根
あ、そっか。いや、なんか今気づきました。監督ってそういう感じの、横にこう、寄り添うみたいな、

山田
いろんなタイプがいていいと思うんですけど、曽根さんは距離を感じました。

曽根
そう、なんかね、不器用なんですよ。 でも喋ってる時は全然、なんか、僕は結構皆さんと楽しく、すぐ仲良くなれちゃうんで、どんな人でもなんですけど、 なんですかね、なんかお芝居を見てる時はなんか、あの、そうなんですよ。監督として役者さんと寄り添わなきゃとか思うんすけど。

山田
思うんですか。

曽根
思います。思うけど、あの不器用なんで、なかなかできなくて。そうなんですよ。僕の悩みその1ですよね。

山田
悩まなくてもいいんじゃない。いや、それで怒っちゃう人とかいるんですか。もっと寄り添ってくれよみたいな。

曽根
いやいや、そういうことは。今すごい俳優さんも、なんか皆さんめちゃくちゃ 僕たちに優しくしてくださるんで、そういうことはないですけど。でも、僕なんか他の監督の現場に行くこと結構多くて。あ、そうなんで。そうすると、やっぱり なんかこう、そういう監督が多いし、

山田
こういう気持ちでやってたのわかるよ、みたいなことですか。

曽根
そう。だから、ああいうの

山田
曽根さん向いてないんだからやめた方がいいですよ。

曽根
やばいやばい。だからね、

山田
いろんなタイプがいて、すごい。私はなんか風通しのいい演出だなって。その、具体的に色々言われて、感情のことっていうよりは、 もうちょっとここ、間をあげてみてくださいとか。はいはい、あの、誰にでもわかりやすいような、でも、その間を開けたことによって 違う何かが生まれたりとかするじゃないですか。

曽根
でもそれは、うん、真歩さんだからっていうのもあるかもしんないっす。

山田
いや、他の人にもそうしてましたよ。ほんとです

曽根
ほんとですか。おかしいな、他の人とは。いや、なんかもう、真歩さんのお芝居はもう、なんかもう、曽根が色々言うべきじゃないみたいな。

山田
いや、色々言われましたよ。

曽根
あの、なんか言ってたのは、だから、なんかこう、その、なんでしょう、 実験してる感覚っていうか。実験してるって言うとめちゃくちゃ失礼ですね。

山田
いや、いいです。

曽根
なんというか、こう、ま、じゃ、テイク1で最初「よういハイ」で撮らせていただいて、最初から いいなって思うんですけど、なんかもっと見たいっていうか、じゃ、こういうのお願いしてみたら。何が出てくるんだろう。みたいな 感じでさせていただいてました。本番中には言えないですけど。

山田
でも、それわかって。

曽根
あ、バレてたんすね。

山田
あの、でも楽しくて、それが逆に。いろんなバージョンが試せるのが。で、なんかその、結構和気藹々と作ってた。ホラードラマなんですけど、結構笑いがみんな絶えなかったじゃないですか。 1回なんか覚えてるのが、休憩時間のご飯の時間に、最後の方かな、9話かなんかで、私が蛇に取りつかれたような感じになって、生卵を食べるって台本に書いてあった時、どう生卵を食べるんだろうってずっと思ってて。 スタッフの人とか女監督が大喜利大会みたいになってたじゃないですか。

曽根
みんなで、生卵をどう食べるかっていう実験をするっていうやりましたね。

山田
それも実験じゃないですか。で、いろんな食べ方があるじゃないですか。なんかいろいろなシーンで、そういう風にみんなで楽しかったなっていう印象があって。

曽根
そうですね。いや、なんかだからよくホラー撮ったっていうと、現場めっちゃ怖いんじゃないですかとかって言われるんすけど、 めちゃくちゃ楽しかったですよね。、

山田
多分。緊張感があるから、なんか笑うじゃないですか。緊張感をほぐそうとして、それもあるのかなっていう。

曽根
あー、それはあるかもしれないです。あの、また別の回ですけど、その、ほんとの心霊スポットみたいなの行ったんですよ。トンネル。

山田
トンネルね。

曽根
そこはマジで結構怖い場所だったんすよ。そん時が、みんなのトーク力が半端なかったっす。

山田
ずっと喋ってるみたいな。

曽根
そうなんですよ。あれは多分、怖いのをごまかすためなのかわかんないですけど、ほんと、本番中以外は、なんかずっと笑い声するみたいな。そうなんですよ。だから、皆さんも、こう、盛り上げていただいて、なんか結構ね、現場はとてもいい雰囲気だったかなっていう気はしつつ。

山田
怖かったんですけど。でも、「用意、スタート」っていうまではずっと和気藹々としてた感じ。

曽根
そうですね。でも、ちょっと気になってたのは、それって、僕たち的には、なんかすごいリラックスしてやれるって感じなんですけど、 その怖いお芝居をする直前に、それで良かったのかなっていうのは正直思いましたけど、

山田
それは、どうだったんだろう。いや、それはそれで切り替えてやってたと思いますけど。

曽根
さすが。そこはプロですね。1回だけだから。みんなシー、シーって、

山田
そんな時ありましたっけ。

曽根
僕、密かにやってたんです。

山田
あ、ほんとですか。集中してそうだから、みたいな。

曽根
そうなんですよ。怖がるっていう真歩さんがまさに ちっちゃい子供の霊が襲いかかるみたいな。

山田
あー、結構初期の方ですよね。

曽根
そうです。リアクションを取らせていただくっていうのがあって、そこはちょっと、キャッキャキャッキャしすぎたら、これ やりづらいんじゃないかなとかって思って。いや、ちょっと静かにしようみたいな。

山田
でも、あの時、初めてのお化けと、そのぎゃーってなるし シーンで初めてで、でどの程度ぎゃーってなるのか、みたいな結構何度も撮ったじゃないですか。 で、なんか監督に言われたのは、崖に立ってるような感じでって。何もないところで、お化けも全然怖くない。あ、カメラしかないじゃないですか。カメラがわーって私のところに寄ってくるので、想像力しかな頼りになんない時に、 なんか崖っぷちに立ってるかのようにとか、色々。カメラが口の中に入ってくるかのようにとか、なんかそういう演出をしてくれたのが印象的で。
覚えてます。

曽根
ちょっとあれですね、自分でどう演出してたのか聞くとちょっと照れちゃいますね。
そう、だから、なんかほんとにこう、いろんな言葉を、ちょっといろんな注文させていただくと、 あ、そのタイプもあるんですね、みたいな。巻いていくごと、だから、こう勝手にニヤニヤしてました。モニター前で。

山田
そうだったんですか。そっか。

曽根
そうなんですよ、はい。という感じで、そういう感じでいいんでしょうか。
はい、じゃあそろそろですね、終わりの時間がやってまいりましたので、次回もですね、引き続き、山田真歩さんとですね、 私、曽根隼人でですね、ドラマ「憑きそい」の制作秘話というところでですね、お届けしていきたいと思いますので、次回もお楽しみください。

山田
お楽しみください。

曽根
ありがとうございました。

山田
ありがとうございました。