BABEL Wave#8
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https://spotifyanchor-web.app.link/e/K4GcpQ3BeEb
[文字起こし]
アベラ
始まりました。BABEL Waveは、コンテンツスタジオBAEL LABELのクリエイターが、今の時代の波をご紹介する番組です。ちょうど今、旬になっている作品に触れていきたいと思っております。 今回のパーソナリティーはBABEL LABELの監督、私アベラヒデノブです。そしてゲストは俳優の北村有起哉さんにお越しいただきました。
北村
こんにちは。北村有起哉です。
アベラ
あれ、可愛いですね。
北村
イェイイェイ
アベラ
ありがとうございます。イェイイェイイェイということで、えー、僕もね、ちょっと噛んでしまいましたけど、大丈夫ですよね。この感じでね。 ありがとうございます。いや、えーっとですね、BSテレ東土曜ドラマ9枠でですね、放送がスタートした、僕が監督した。
アベラ
ドラマ「たそがれ優作」の主人公、北見優作役でもご出演していただいている北村有起哉さんですね。
北村
はい、お邪魔します。
アベラ
ありがとうございます。いやいや、嬉しいですね。放送始まりましたけど、黄昏優作はですね、安倍夜郎さんの著書「たそがれ優作」を原作に、昼は俳優、仕事が終わればフラっと酒場へと繰り出す日々を送る、悩める50代俳優優作が、訪れる店で酒を酌み交わす魅力的なマドンナ達に毎度心惑わされながら、食って、呑んで、ふられて、呑む…!というお話。
北村
そうです。食って、呑んで、ふられて、呑む。やけくそですね。やけ酒ですね、毎週毎週。
アベラ
毎週毎週。いや、ほんとに北村さん、今回ですね、いやまあ、優作演じられて。どうでしたか、大変でしたか?
北村
あの俳優役っていうこと自体がね、やっぱりね、逆に新鮮でしたよね。だから、ほら、 劇中劇って劇中劇用に監督役がいたじゃない。でも、「たそがれ優作」ドラマを撮ってるのはアベラ監督じゃない。 だから、劇中劇用のお芝居が終わって、「はい、カット」って言った時に、もう何遍も間違えて監督が「カットー」とかって言ったりして、あれはなかなか複雑な構造ではありましたね。
アベラ
いや、そうですね、劇中劇がね、毎話登場して、あのー、やっぱバイプレイヤーなんで、優作が。で、なんか売れてないって。本人はなんかね、まだ 1人前じゃないみたいな。
北村
中途半端なね、まあ、結構売れてるんじゃないのかな、この人っていう一面もあるけどね、
アベラ
いい役をね、毎話劇中劇で演じられてて。放送終わった1話は、冒頭でいきなり眉毛のないヤクザ、
北村
どっかで見たことある。
アベラ
あ、そうですね。ちょっとこの作品名言っていいのかわかんないですけど、有起哉さんがね、過去にたくさん、実際にも、あのまあバイプレイヤーって言葉がはまるかわかんないんですけど、有起哉さん自身は どうなんですか。バイプレイヤーなんですか、
北村
どうですかね。それで、ほら、僕自身がね、子供の頃に、いつかバイプレーヤーになるとかって言って、思ってたわけじゃないからね。
アベラ
そうですよね。
北村
それはなんだろう、いろんなきっかけがあって、俳優になるぞって、 そんなものは漠然的だったりとかねするし、バイプレイヤーっていう言葉自体も、このね、10年 以内かな
アベラ
あ、そうなんですか。
北村
いや、多分、そうだと思う。脇役主役とかっていう、あの、そういったラインはあったかもしれないけど、僕は割と欲張りだから、どっちもやりたいっていう目標は元々あって、はい。やっぱりね、両方 やればやるほど、見えてくるものもあるし、それが、とても贅沢なことだとは思うんだけどね、あんまり、その優作さんのように脇役だけで…ていうか、僕自身はね、やっぱ、もっと、なんつうのかな、背高というか、上昇志向の塊というか、そういう部分があるんでね、だから、なかなか複雑な名脇役という役の主役でしょ。だからそこらへんが面白い構造だなと。
アベラ
そうですね。いや、なんか面白いのは、今、有起哉さん自身も上昇志向の、実は有起哉さん自身はそうだけど、優作のスタンスって、なんか もっとマイペースですよね。だから日常の真の優作って、やっぱ見ててずっとほっこりできるっていうか。個人的に。後輩からいじられたり、なんかちょっとつまずいたり、ちょっとそういう、なんかある種いい意味で情けないおじさんで、マイペースなんだけど、劇中劇を有起哉さんが演じられてるんです実は。
北村
まあね、そこは今までの培ったもので。
アベラ
そこ、本気で演じてくださってるので、マイペースな優作が本番だけガラッて本当に怖いヤクザになったりとか、
北村
そこら辺が、だから、見てる人が、演じ分けるグラデーションを見て楽しんでもらえればなっていうのはありますよね。こういった構造のドラマ。
アベラ
そうですね。いや、もうね、これ。あれ、今回これで、この作品で一緒にお仕事させていただくの5回目。僕が俳優部としての回数含むと5回目。監督として3作品目なんですよ、僕。多分。えっと、私たちの馴れ初めはですね。
北村
はい。
アベラ
え、馴れ初めって言い方ちょっと気持ち悪いですね、すいません。えっと、まずですね、今作、「たそがれ優作」の企画プロデューサーである吉見健二さんがプロデューサーとしてオリジナルで作った「背徳の夜食」という、2019年に撮影したですね、 ドラマ。それが短編なんですけど、そこに主演していただいたの初めてですね。
北村
何年前だっけ?
アベラ
2019年なんで、もう4年前です。4年前の7月。覚えてます。
北村
覚えてるよ。そうですよね。いや、ごめん。あの、あの日は覚えてるよ。あの日、何をやったか覚えてる。
アベラ
あの、有起哉さんはね、熱々のラーメンをですね、ほんまに口から湯気出しながら、CGで足してないですからね。あんなもんもう火傷しますで、 それをズルズルってね、
北村
そう、もう脂こってこてのね、脂ちゃちゃちゃラーメン。
アベラ
ラーメンを食べていただいて、僕はやっぱ、そこで初めてご一緒した時に、この人は一体なんなんだ。って、 まあ、有起哉さんも同じく、こいつはいつまでやらせるんだ。とか思ってたと思うんですけど、僕はちょっと感動した経緯がありました。で、そんな中、その年のね、2019年、撮影終わって、僕は俳優としてですね、藤井道人監督の「ヤクザと家族 The Family」
北村
そうでした。
アベラ
有起哉さんがメインで出演されてるんですけど、そこで僕は有起哉さんの舎弟というか、部屋住みでちょっと
北村
お豆さんみたいに。
アベラ
お豆として、えー、お邪魔して。で、僕覚えてますよ。「ヤクザと家族 The Family」の撮影現場行った時に、有起哉さんが僕を見て、第一声「お、来たな」って。撮影ぶりの再会で嬉しかったですね。
北村
いや、撮ったね。
アベラ
撮りましたね。
北村
僕が覚えてるのはあれだったよ。あの、アベラくんが、役者として オールアップして、最寄りの駅までね。たまたま僕、車だったからいいよ。「じゃあ、そのすぐそこの駅まで送ってってあげるよ」 てさ。それで、オールアップだったから、花束をね、もらったんだけど、見事に僕の車に置いてって帰ったよね。
アベラ
これ、まずいな。大丈夫か。そうですね。あの、有起哉さんにね、車で送ってもらって。
うん、見事に。えー、クランクアップの花を忘れるという。その花はちなみにどうなったんでしたっけ?
北村
僕がちゃんと、飾らせてもらったよ。そりゃそりゃそうだよ。だって、なんで俺がまたな、君のオタクに行かなきゃいけなかったの。花キューピットみたいに。
アベラ
花キューピットじゃないんですよ。ゆきやさんのお家で飾られた花も、むしろ嬉しかったと思います。はい。その説は ありがとうございます。そういったね、経緯を含めまして。それから2年後、2021年。大丈夫ですか。こういう感じで。「ムショぼけ」
北村
出ました。
アベラ
はい、でました。北村有起哉さん初主演ドラマ。嬉しいですよね。初主演ドラマで再会するっていう。そこで、僕がちょっとメインで監督させていただいて。
北村
ね、オール関西ロケでね、
アベラ
関西弁でしたね。
北村
関西弁でしたね、
アベラ
有起哉さん出身は?
北村
東京ですよ。もう周りの人がもうみんなネイティブでしたもんね。
アベラ
いや、すごいですよね、よく考えたら。
北村
いや、でも、本当に苦労しましたね、関西弁はね。でも、あのおかげで、本当にスキルは、あの関西弁に関しては、上がったのかなっていう。
アベラ
いや、あの「ムショぼけ」の有起哉さんは、まだ全然僕も見たことない。ほんとに主人公の宗介。 いや、ほんとに、なんか情けないけど、ほんとに怖いヤクザでもあるっていう、元ヤクザ。
北村
チャーミングな部分もね。もちろん、でないと、視聴者の方はね、見続けてくれないしね。だから、でも、本当に、 あれはあれで、本当に出し切ったよね。勘弁してくれよっていうぐらいの、
アベラ
いや、結果的にでも、あの、尼崎というか、関西の、ま、僕もあの、関西出身なんですけど、 やっぱ関西出身の人がドラマ見ても、「え、北村さんって、え、ネイティブじゃないの?」って。
北村
みたいね。なんかね、それ嬉しかったね。
アベラ
いや、それってなかなか、ほんとないので、僕も嬉しかったです。
北村
耳が肥えてるからね、関西弁の皆さん。だから、あの、そういった、ちょっとした、抵抗が、最初はありました。
アベラ
そうですね。で、
北村
もう、あれだけがっつりやって、 まー、これでしばらくは彼とはもうね、ま、ないだろうなって思ってた、割と矢先だったかな。
アベラ
そうですね、確かに、確かに、あの「ムショぼけ」が、2021年、去年ですね、 関ジャニ∞さんの番組に、え、有起哉さんがですね、ゲストで出られていた。
北村
あれ面白かったね。
アベラ
いや、面白かったですね。その時に、なんか、演出助手みたいな、脚本助手という演出家枠で、僕をちょっと、呼んでくださって。
北村
ご指名させていただいて、
アベラ
もうめちゃくちゃ、あそこで、だから、「ムショぼけ」以来、約1年ぶりぐらいに、生でちょっとお芝居、ちょっと拝見して、ま、 やっぱり有起哉さんはちょっとおかしい。
いい意味です。すいません。本当にあの時、僕はおもろかったですね。あのー、関ジャニ∞さんの前でアドリブですもんね。ほぼ。
北村
そうねー。あれは結構スリルだったけど、でも、本当に途中で監督がね。あの、上手に導いてくれて、 さらにね、あの展開を作ってくれてね。新たな。本当にうまいことまとまったもんね。結果的には。
アベラ
恐縮です。いや、それもね、ちょっとそういう経緯もあって。そうですね、
北村
そうですよ。
アベラ
2023年。今年です。「たそがれ優作」に至るという。はい。そして、あの、八変化どころか十変化。 あの、劇中劇も1話の中に1作ってわけじゃないので。2作くらい
北村
だから数えなくていいよ。その辺の。
アベラ
ごめんなさい、ごめんなさい、もう、でもね、いや、本当に監督冥利につきます。そんな有起哉さんを、ほんとね、骨の髄までちょっと堪能させていただけた、そんな現場でした。
ありがとうございます。
北村
いえ、こちらこそありがとうございました。
アベラ
いや、だから、有起哉さんのね、演技の魅力とか、ごめんなさい、こんな顔から火の出るあれですけど。 いや、でも、やっぱり僕ね、有起哉さんのお芝居、本当になんすかね、この、
北村
そうだね、せっかくだから聞かせてくれよ。
アベラ
いや、やっぱりね、予測ができないですよね、まず、本当にいい意味で。な、なんつうんすかね、 これはね、どなたかとかじゃないですよ。いろんな作品を見て、純粋に観客として、 あ、いい芝居だなって思うことって、別にいっぱいあるじゃないですか。観客として見てて、けど、なんかやっぱ、なんかテンプレートというか、
北村
テンプレートって何?
ちょっと本当失礼な。でもこれは観客として、ま、僕も監督をやらせていただいてるんで、たまに作品とか、そっか、見た時に。
北村
うん、どっかで見たことあるみたいな?
アベラ
そうです。お芝居が、なんか、どっかで見たことある。あ、なるほど、悲しくて悔しいからいいーってなってるみたいな時に、あ、いいーってなってるなって思う時がたまにある。
北村
まあまあ、監督していればね。
アベラ
ちょっとね、そういう見方をしてしまうんですけど、やっぱり有起哉さんのお芝居が、見てる時にちょっと本当に僕はテストとかで見て、 こう来ることあるってやっぱ思わせていただけ
北村
えないの?それはそう、それがこうくることあるっていうのがあるのね。あ、そう、ありかなって思ってくれるの、
アベラ
超ありだなって 思って。いや、それが面白いんですよね。でも人間って確かにこうなるっていう。でもそれがなんか、ただただ奇抜なことを、もちろん有起哉さんがされるわけないんで、 やっぱ「たそがれ優作」だったら北見優作っていう人物像がまず太い大黒柱が役作りにあって、その人が実際リアクションとかで 撮る。そのリアクションが、なんていうんですかね、リアクション。リアクションはでも特に好きです。ふとした で、編集の時に気づくんですまた。あれ?この時この時有起哉さんこんな顔してたん?っていう。
北村
全部が全部ね、見てるわけじゃないから。
アベラ
ずっと見れるわけでもないので、その見た時にリアクション部分とかが、 なんて言うんですかね、普段から有起哉さんがお芝居の時どういう意識されてるのか、ほんま気になるんですけど、人間臭いんですよね。で、しかもそれが無理なく表現じゃないんです。なんか、生きてる人のほんとふて腐れ方が表現じゃないんです、僕が。で、ワンワード有起哉さんが現場で 僕が聞いて、あ、それ意識されてるんだって思ったのが、「自然な違和感」って言葉を。
北村
へえーそんなこと言ってたの。
アベラ
有起哉さんの言葉なんですけども、
北村
自然な違和感ね。意味がわかんない。
アベラ
そ、あれ。 これで迷子なるの。あのね、多分、違和感は感じさせたいけど、でも、それをしない。なんか控えめなのに、違和感はあるんですけど、うるさくないんですね。
だから、違和感もリアクションとして存在感はしっかりあるんですけど、それを多分自然に見せないとやっちゃいけないっていう。
北村
そうだね。それはすぐバレるからね、きっと。
アベラ
あ、やっぱそうなんですね。それって普段から意識するものですか?日常生活から。
北村
わかんないけど、でもみんなやってることだと思うよ。
アベラ
ほんとですか。俳優の、
北村
いやいやいや、生きてる人間。
アベラ
いや、そうですよね。生きてる時はそうですけど、やっぱ
北村
心が動いてれば あるんじゃない。あの十人十色のリアクション
アベラ
なるほど。やっぱ本番中本番。 これあとね、5分以内ぐらいですわ。尺。あ、でもこれは大事ですからね、ラジオとして。あの、すいません。意外とね、楽しい話はたくさん、あの、広がっていくということで、もう少しだけ、その今の自然な違和感について聞いていいですか。あの、その、じゃあ、つまりは、本番中、お芝居してる時に、なんか細かいお芝居を意識してリアクションをやるってことじゃなくて、やっぱ心を自然に動かしてるんですか?
北村
でも、それは。そこが、ほらね、なんつうの永遠のテーマだけど。芝居してるわけだからさ。だからもう、 前提としては不自然なんだよね。
アベラ
なるほどねそうですよね。
北村
あの、だから、偽りのことをやってるわけだけども。はい、それはもうわかった上で、なんか、確信犯みたいなものもある気もしますけどもね。でも、まずちゃんと台本があって、セリフがあって、そのシチュエーションがあって、うん、人物の関係があって とか、そういうものがちゃんと踏まえた上で、なんか予想外のリアクションかもしれないけど、あ、でも、こういう人もありかなっていう。 まあ、あとは、ほら、簡単に言えば、監督が、あとは、ドラマによっては、ね、もっとそこはわかるでしょ。わかりやすくやってよ、とかっていう。そういうことは、そういうことで。「あ、わかりました」って、 それはもう作品のためだからさ。それは多分、その、アベラ監督だったから、僕がどっかで試してるというか、 もう遊ばせてもらってる部分だったと思うな。
アベラ
いや、ありがとうございます。いや、だから、まあ、優作は特に、なんかその自然な違和感というか、なんか、有起哉さんの心が、たそがれ優作の心が、なんか伝わってくるんですよね。何気ない表情から。やっぱそれは まあ、狙いもあるお芝居の中にあるかもしれないですけど、心がちゃんと動きながらお芝居してんじゃないかなって。僕はやっぱ見ててそういう部分がすごく 嬉しいです。はい、「たそがれ優作」ではそれを感じれると思います。はい、では。えー、そろそろお時間です。北村さん、最後の締めの言葉を。
北村
せっかくなんでね、「たそがれ優作」ご覧になってほしいということで、ほんとにいろんな見どころ満載でございます。 毎回マドンナが現れて、美味しい食事も出てきて、令和の虎さんなんてね、監督が言ってくれましたけども、 それぐらいの、なんて言うんですかね、勝手にフラれて、で、くよくよしながらお酒飲んで、でも、そんな姿を見て、ちょっとしみじみとほっこりしていただけるような、とってもあったかい作品になってると思いますので、 もうぜひ見ていただきたいと思います。
アベラ
はい、ありがとうございます。私が監督し、北村さんご出演のドラマ「たそがれ優作」は、BSテレ東/土曜ドラマ9で毎週土曜夜9時から放送中、TVerでも第1話配信中です。そして、ドラマ「ムショぼけ」は、NetflixやU-NEXTなど様々な配信サイトで配信していますので、是非ご覧ください。本日のBABEL Waveは、俳優 北村有起哉さんと 監督 アベラヒデノブでお送りしました。後編はですね、「たそがれ優作」の裏側をたっぷりとお話したいと思います。
北村
たっぷりね、
アベラ
たっぷり。
BABEL Wave#8
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アベラ
始まりました。BABEL Waveは、コンテンツスタジオBAEL LABELのクリエイターが、今の時代の波をご紹介する番組です。ちょうど今、旬になっている作品に触れていきたいと思っております。 今回のパーソナリティーはBABEL LABELの監督、私アベラヒデノブです。そしてゲストは俳優の北村有起哉さんにお越しいただきました。
北村
こんにちは。北村有起哉です。
アベラ
あれ、可愛いですね。
北村
イェイイェイ
アベラ
ありがとうございます。イェイイェイイェイということで、えー、僕もね、ちょっと噛んでしまいましたけど、大丈夫ですよね。この感じでね。 ありがとうございます。いや、えーっとですね、BSテレ東土曜ドラマ9枠でですね、放送がスタートした、僕が監督した。
アベラ
ドラマ「たそがれ優作」の主人公、北見優作役でもご出演していただいている北村有起哉さんですね。
北村
はい、お邪魔します。
アベラ
ありがとうございます。いやいや、嬉しいですね。放送始まりましたけど、黄昏優作はですね、安倍夜郎さんの著書「たそがれ優作」を原作に、昼は俳優、仕事が終わればフラっと酒場へと繰り出す日々を送る、悩める50代俳優優作が、訪れる店で酒を酌み交わす魅力的なマドンナ達に毎度心惑わされながら、食って、呑んで、ふられて、呑む…!というお話。
北村
そうです。食って、呑んで、ふられて、呑む。やけくそですね。やけ酒ですね、毎週毎週。
アベラ
毎週毎週。いや、ほんとに北村さん、今回ですね、いやまあ、優作演じられて。どうでしたか、大変でしたか?
北村
あの俳優役っていうこと自体がね、やっぱりね、逆に新鮮でしたよね。だから、ほら、 劇中劇って劇中劇用に監督役がいたじゃない。でも、「たそがれ優作」ドラマを撮ってるのはアベラ監督じゃない。 だから、劇中劇用のお芝居が終わって、「はい、カット」って言った時に、もう何遍も間違えて監督が「カットー」とかって言ったりして、あれはなかなか複雑な構造ではありましたね。
アベラ
いや、そうですね、劇中劇がね、毎話登場して、あのー、やっぱバイプレイヤーなんで、優作が。で、なんか売れてないって。本人はなんかね、まだ 1人前じゃないみたいな。
北村
中途半端なね、まあ、結構売れてるんじゃないのかな、この人っていう一面もあるけどね、
アベラ
いい役をね、毎話劇中劇で演じられてて。放送終わった1話は、冒頭でいきなり眉毛のないヤクザ、
北村
どっかで見たことある。
アベラ
あ、そうですね。ちょっとこの作品名言っていいのかわかんないですけど、有起哉さんがね、過去にたくさん、実際にも、あのまあバイプレイヤーって言葉がはまるかわかんないんですけど、有起哉さん自身は どうなんですか。バイプレイヤーなんですか、
北村
どうですかね。それで、ほら、僕自身がね、子供の頃に、いつかバイプレーヤーになるとかって言って、思ってたわけじゃないからね。
アベラ
そうですよね。
北村
それはなんだろう、いろんなきっかけがあって、俳優になるぞって、 そんなものは漠然的だったりとかねするし、バイプレイヤーっていう言葉自体も、このね、10年 以内かな
アベラ
あ、そうなんですか。
北村
いや、多分、そうだと思う。脇役主役とかっていう、あの、そういったラインはあったかもしれないけど、僕は割と欲張りだから、どっちもやりたいっていう目標は元々あって、はい。やっぱりね、両方 やればやるほど、見えてくるものもあるし、それが、とても贅沢なことだとは思うんだけどね、あんまり、その優作さんのように脇役だけで…ていうか、僕自身はね、やっぱ、もっと、なんつうのかな、背高というか、上昇志向の塊というか、そういう部分があるんでね、だから、なかなか複雑な名脇役という役の主役でしょ。だからそこらへんが面白い構造だなと。
アベラ
そうですね。いや、なんか面白いのは、今、有起哉さん自身も上昇志向の、実は有起哉さん自身はそうだけど、優作のスタンスって、なんか もっとマイペースですよね。だから日常の真の優作って、やっぱ見ててずっとほっこりできるっていうか。個人的に。後輩からいじられたり、なんかちょっとつまずいたり、ちょっとそういう、なんかある種いい意味で情けないおじさんで、マイペースなんだけど、劇中劇を有起哉さんが演じられてるんです実は。
北村
まあね、そこは今までの培ったもので。
アベラ
そこ、本気で演じてくださってるので、マイペースな優作が本番だけガラッて本当に怖いヤクザになったりとか、
北村
そこら辺が、だから、見てる人が、演じ分けるグラデーションを見て楽しんでもらえればなっていうのはありますよね。こういった構造のドラマ。
アベラ
そうですね。いや、もうね、これ。あれ、今回これで、この作品で一緒にお仕事させていただくの5回目。僕が俳優部としての回数含むと5回目。監督として3作品目なんですよ、僕。多分。えっと、私たちの馴れ初めはですね。
北村
はい。
アベラ
え、馴れ初めって言い方ちょっと気持ち悪いですね、すいません。えっと、まずですね、今作、「たそがれ優作」の企画プロデューサーである吉見健二さんがプロデューサーとしてオリジナルで作った「背徳の夜食」という、2019年に撮影したですね、 ドラマ。それが短編なんですけど、そこに主演していただいたの初めてですね。
北村
何年前だっけ?
アベラ
2019年なんで、もう4年前です。4年前の7月。覚えてます。
北村
覚えてるよ。そうですよね。いや、ごめん。あの、あの日は覚えてるよ。あの日、何をやったか覚えてる。
アベラ
あの、有起哉さんはね、熱々のラーメンをですね、ほんまに口から湯気出しながら、CGで足してないですからね。あんなもんもう火傷しますで、 それをズルズルってね、
北村
そう、もう脂こってこてのね、脂ちゃちゃちゃラーメン。
アベラ
ラーメンを食べていただいて、僕はやっぱ、そこで初めてご一緒した時に、この人は一体なんなんだ。って、 まあ、有起哉さんも同じく、こいつはいつまでやらせるんだ。とか思ってたと思うんですけど、僕はちょっと感動した経緯がありました。で、そんな中、その年のね、2019年、撮影終わって、僕は俳優としてですね、藤井道人監督の「ヤクザと家族 The Family」
北村
そうでした。
アベラ
有起哉さんがメインで出演されてるんですけど、そこで僕は有起哉さんの舎弟というか、部屋住みでちょっと
北村
お豆さんみたいに。
アベラ
お豆として、えー、お邪魔して。で、僕覚えてますよ。「ヤクザと家族 The Family」の撮影現場行った時に、有起哉さんが僕を見て、第一声「お、来たな」って。撮影ぶりの再会で嬉しかったですね。
北村
いや、撮ったね。
アベラ
撮りましたね。
北村
僕が覚えてるのはあれだったよ。あの、アベラくんが、役者として オールアップして、最寄りの駅までね。たまたま僕、車だったからいいよ。「じゃあ、そのすぐそこの駅まで送ってってあげるよ」 てさ。それで、オールアップだったから、花束をね、もらったんだけど、見事に僕の車に置いてって帰ったよね。
アベラ
これ、まずいな。大丈夫か。そうですね。あの、有起哉さんにね、車で送ってもらって。
うん、見事に。えー、クランクアップの花を忘れるという。その花はちなみにどうなったんでしたっけ?
北村
僕がちゃんと、飾らせてもらったよ。そりゃそりゃそうだよ。だって、なんで俺がまたな、君のオタクに行かなきゃいけなかったの。花キューピットみたいに。
アベラ
花キューピットじゃないんですよ。ゆきやさんのお家で飾られた花も、むしろ嬉しかったと思います。はい。その説は ありがとうございます。そういったね、経緯を含めまして。それから2年後、2021年。大丈夫ですか。こういう感じで。「ムショぼけ」
北村
出ました。
アベラ
はい、でました。北村有起哉さん初主演ドラマ。嬉しいですよね。初主演ドラマで再会するっていう。そこで、僕がちょっとメインで監督させていただいて。
北村
ね、オール関西ロケでね、
アベラ
関西弁でしたね。
北村
関西弁でしたね、
アベラ
有起哉さん出身は?
北村
東京ですよ。もう周りの人がもうみんなネイティブでしたもんね。
アベラ
いや、すごいですよね、よく考えたら。
北村
いや、でも、本当に苦労しましたね、関西弁はね。でも、あのおかげで、本当にスキルは、あの関西弁に関しては、上がったのかなっていう。
アベラ
いや、あの「ムショぼけ」の有起哉さんは、まだ全然僕も見たことない。ほんとに主人公の宗介。 いや、ほんとに、なんか情けないけど、ほんとに怖いヤクザでもあるっていう、元ヤクザ。
北村
チャーミングな部分もね。もちろん、でないと、視聴者の方はね、見続けてくれないしね。だから、でも、本当に、 あれはあれで、本当に出し切ったよね。勘弁してくれよっていうぐらいの、
アベラ
いや、結果的にでも、あの、尼崎というか、関西の、ま、僕もあの、関西出身なんですけど、 やっぱ関西出身の人がドラマ見ても、「え、北村さんって、え、ネイティブじゃないの?」って。
北村
みたいね。なんかね、それ嬉しかったね。
アベラ
いや、それってなかなか、ほんとないので、僕も嬉しかったです。
北村
耳が肥えてるからね、関西弁の皆さん。だから、あの、そういった、ちょっとした、抵抗が、最初はありました。
アベラ
そうですね。で、
北村
もう、あれだけがっつりやって、 まー、これでしばらくは彼とはもうね、ま、ないだろうなって思ってた、割と矢先だったかな。
アベラ
そうですね、確かに、確かに、あの「ムショぼけ」が、2021年、去年ですね、 関ジャニ∞さんの番組に、え、有起哉さんがですね、ゲストで出られていた。
北村
あれ面白かったね。
アベラ
いや、面白かったですね。その時に、なんか、演出助手みたいな、脚本助手という演出家枠で、僕をちょっと、呼んでくださって。
北村
ご指名させていただいて、
アベラ
もうめちゃくちゃ、あそこで、だから、「ムショぼけ」以来、約1年ぶりぐらいに、生でちょっとお芝居、ちょっと拝見して、ま、 やっぱり有起哉さんはちょっとおかしい。
いい意味です。すいません。本当にあの時、僕はおもろかったですね。あのー、関ジャニ∞さんの前でアドリブですもんね。ほぼ。
北村
そうねー。あれは結構スリルだったけど、でも、本当に途中で監督がね。あの、上手に導いてくれて、 さらにね、あの展開を作ってくれてね。新たな。本当にうまいことまとまったもんね。結果的には。
アベラ
恐縮です。いや、それもね、ちょっとそういう経緯もあって。そうですね、
北村
そうですよ。
アベラ
2023年。今年です。「たそがれ優作」に至るという。はい。そして、あの、八変化どころか十変化。 あの、劇中劇も1話の中に1作ってわけじゃないので。2作くらい
北村
だから数えなくていいよ。その辺の。
アベラ
ごめんなさい、ごめんなさい、もう、でもね、いや、本当に監督冥利につきます。そんな有起哉さんを、ほんとね、骨の髄までちょっと堪能させていただけた、そんな現場でした。
ありがとうございます。
北村
いえ、こちらこそありがとうございました。
アベラ
いや、だから、有起哉さんのね、演技の魅力とか、ごめんなさい、こんな顔から火の出るあれですけど。 いや、でも、やっぱり僕ね、有起哉さんのお芝居、本当になんすかね、この、
北村
そうだね、せっかくだから聞かせてくれよ。
アベラ
いや、やっぱりね、予測ができないですよね、まず、本当にいい意味で。な、なんつうんすかね、 これはね、どなたかとかじゃないですよ。いろんな作品を見て、純粋に観客として、 あ、いい芝居だなって思うことって、別にいっぱいあるじゃないですか。観客として見てて、けど、なんかやっぱ、なんかテンプレートというか、
北村
テンプレートって何?
ちょっと本当失礼な。でもこれは観客として、ま、僕も監督をやらせていただいてるんで、たまに作品とか、そっか、見た時に。
北村
うん、どっかで見たことあるみたいな?
アベラ
そうです。お芝居が、なんか、どっかで見たことある。あ、なるほど、悲しくて悔しいからいいーってなってるみたいな時に、あ、いいーってなってるなって思う時がたまにある。
北村
まあまあ、監督していればね。
アベラ
ちょっとね、そういう見方をしてしまうんですけど、やっぱり有起哉さんのお芝居が、見てる時にちょっと本当に僕はテストとかで見て、 こう来ることあるってやっぱ思わせていただけ
北村
えないの?それはそう、それがこうくることあるっていうのがあるのね。あ、そう、ありかなって思ってくれるの、
アベラ
超ありだなって 思って。いや、それが面白いんですよね。でも人間って確かにこうなるっていう。でもそれがなんか、ただただ奇抜なことを、もちろん有起哉さんがされるわけないんで、 やっぱ「たそがれ優作」だったら北見優作っていう人物像がまず太い大黒柱が役作りにあって、その人が実際リアクションとかで 撮る。そのリアクションが、なんていうんですかね、リアクション。リアクションはでも特に好きです。ふとした で、編集の時に気づくんですまた。あれ?この時この時有起哉さんこんな顔してたん?っていう。
北村
全部が全部ね、見てるわけじゃないから。
アベラ
ずっと見れるわけでもないので、その見た時にリアクション部分とかが、 なんて言うんですかね、普段から有起哉さんがお芝居の時どういう意識されてるのか、ほんま気になるんですけど、人間臭いんですよね。で、しかもそれが無理なく表現じゃないんです。なんか、生きてる人のほんとふて腐れ方が表現じゃないんです、僕が。で、ワンワード有起哉さんが現場で 僕が聞いて、あ、それ意識されてるんだって思ったのが、「自然な違和感」って言葉を。
北村
へえーそんなこと言ってたの。
アベラ
有起哉さんの言葉なんですけども、
北村
自然な違和感ね。意味がわかんない。
アベラ
そ、あれ。 これで迷子なるの。あのね、多分、違和感は感じさせたいけど、でも、それをしない。なんか控えめなのに、違和感はあるんですけど、うるさくないんですね。
だから、違和感もリアクションとして存在感はしっかりあるんですけど、それを多分自然に見せないとやっちゃいけないっていう。
北村
そうだね。それはすぐバレるからね、きっと。
アベラ
あ、やっぱそうなんですね。それって普段から意識するものですか?日常生活から。
北村
わかんないけど、でもみんなやってることだと思うよ。
アベラ
ほんとですか。俳優の、
北村
いやいやいや、生きてる人間。
アベラ
いや、そうですよね。生きてる時はそうですけど、やっぱ
北村
心が動いてれば あるんじゃない。あの十人十色のリアクション
アベラ
なるほど。やっぱ本番中本番。 これあとね、5分以内ぐらいですわ。尺。あ、でもこれは大事ですからね、ラジオとして。あの、すいません。意外とね、楽しい話はたくさん、あの、広がっていくということで、もう少しだけ、その今の自然な違和感について聞いていいですか。あの、その、じゃあ、つまりは、本番中、お芝居してる時に、なんか細かいお芝居を意識してリアクションをやるってことじゃなくて、やっぱ心を自然に動かしてるんですか?
北村
でも、それは。そこが、ほらね、なんつうの永遠のテーマだけど。芝居してるわけだからさ。だからもう、 前提としては不自然なんだよね。
アベラ
なるほどねそうですよね。
北村
あの、だから、偽りのことをやってるわけだけども。はい、それはもうわかった上で、なんか、確信犯みたいなものもある気もしますけどもね。でも、まずちゃんと台本があって、セリフがあって、そのシチュエーションがあって、うん、人物の関係があって とか、そういうものがちゃんと踏まえた上で、なんか予想外のリアクションかもしれないけど、あ、でも、こういう人もありかなっていう。 まあ、あとは、ほら、簡単に言えば、監督が、あとは、ドラマによっては、ね、もっとそこはわかるでしょ。わかりやすくやってよ、とかっていう。そういうことは、そういうことで。「あ、わかりました」って、 それはもう作品のためだからさ。それは多分、その、アベラ監督だったから、僕がどっかで試してるというか、 もう遊ばせてもらってる部分だったと思うな。
アベラ
いや、ありがとうございます。いや、だから、まあ、優作は特に、なんかその自然な違和感というか、なんか、有起哉さんの心が、たそがれ優作の心が、なんか伝わってくるんですよね。何気ない表情から。やっぱそれは まあ、狙いもあるお芝居の中にあるかもしれないですけど、心がちゃんと動きながらお芝居してんじゃないかなって。僕はやっぱ見ててそういう部分がすごく 嬉しいです。はい、「たそがれ優作」ではそれを感じれると思います。はい、では。えー、そろそろお時間です。北村さん、最後の締めの言葉を。
北村
せっかくなんでね、「たそがれ優作」ご覧になってほしいということで、ほんとにいろんな見どころ満載でございます。 毎回マドンナが現れて、美味しい食事も出てきて、令和の虎さんなんてね、監督が言ってくれましたけども、 それぐらいの、なんて言うんですかね、勝手にフラれて、で、くよくよしながらお酒飲んで、でも、そんな姿を見て、ちょっとしみじみとほっこりしていただけるような、とってもあったかい作品になってると思いますので、 もうぜひ見ていただきたいと思います。
アベラ
はい、ありがとうございます。私が監督し、北村さんご出演のドラマ「たそがれ優作」は、BSテレ東/土曜ドラマ9で毎週土曜夜9時から放送中、TVerでも第1話配信中です。そして、ドラマ「ムショぼけ」は、NetflixやU-NEXTなど様々な配信サイトで配信していますので、是非ご覧ください。本日のBABEL Waveは、俳優 北村有起哉さんと 監督 アベラヒデノブでお送りしました。後編はですね、「たそがれ優作」の裏側をたっぷりとお話したいと思います。
北村
たっぷりね、
アベラ
たっぷり。